最も危険な不整脈 突然死を招く「心室細動」とは

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心室細動心不全胸が痛い動悸(どうき)がする胸・心臓循環器・血管

心臓の筋肉が痙攣するように震える、心室細動とは

心室細動とは、心臓の部位のうち血液を全身に送り出す「心室」が細かく震える不整脈です。心臓の筋肉が痙攣(けいれん)するように震え、収縮と拡張を正常に繰り返せなくなるため、やがて心停止状態に陥ります。心室細動になると脳への血流も不足するため、発症から6秒で意識を失い、3分で脳が重いダメージを受けます。

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心室細動を起こしやすい人

心室細動を起こしやすい人

心室細動が起こりやすいのは、心筋梗塞や心筋症で心臓の働きが悪くなっている人や、重症の心不全、大動脈弁狭窄症といった心臓の病気がある人です。また、1分間の脈拍が100回以上、多いと150~200回になる「心室頻拍」がある人もリスクが高くなります。
そのほか、遺伝的な要因も影響します。血縁者に不整脈で突然死した人がいる場合は注意が必要です。
心臓病があることに気づかずに、ジョギングや激しい運動、過労などによって心室細動を起こす人も少なくありません。特に「朝の9時前後」は心室細動が起こりやすい時間帯といわれています。朝は交感神経が働き、血圧が上昇して拍動が早くなるので、心臓に負担がかかりやすくなるためです。中高年や心臓に病気のある人は、朝の運動はできるだけ控えましょう。

心室細動の治療

植え込み型除細動器「ICD」

心室細動の治療は、植え込み型除細動器「ICD」を用いて行われます。ICDとは、拍動を監視し、心室頻拍や心室細動が起こると自動的に電気ショックを与えて拍動を正常に戻す医療機器です。
ICD治療前には、心電図検査などで原因を分析します。そのうえで心室細動を起こした人や、起こしやすいと考えられた人にICDによる治療を行います。

ICDの手術は、右の鎖骨の下を切開し、ICDの本体を植え込み、リードを右心房と右心室に固定します。手術は局所麻酔で行われ、2時間程度です。作動の確認も含めて1週間程度入院します。
手術後は数か月に一度、電池残量のチェックなどの定期検査を行います。発作がなければ電池は6年程度もちますが、たびたび頻脈を起こしている人は、電池の消耗が激しく、短期間で電池が切れてしまいます。切れたときは電池交換の手術を行います。
また、遠隔モニタリング機能が備わったICDもあります。ICDに記録されたデータが自動で医療機関へ送信されるため、医療機関を受診しなくても医師がICDの作動をチェックすることができ、安全性がより高くなりました。

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