生活習慣病や加齢が大きく影響する慢性腎臓病と、腸内細菌の関係

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慢性腎臓病の原因は?

慢性腎臓病の原因は?

腎臓の働きが徐々に低下する病気をまとめて慢性腎臓病と呼んでいます。慢性腎臓病の原因は生活習慣病または腎臓自体の病気に大きく分かれます。

生活習慣病とは主に糖尿病高血圧です。どちらも全身の血管を障害しますが、腎臓は血管のかたまりのような臓器なので特に障害されやすいのです。腎臓自体の病気では慢性腎炎が多く、より具体的にはIgA腎症などです。

慢性腎臓病には加齢も大きく影響します。健康な人でも腎臓の働きは年齢とともに自然に低下するからです。現在、慢性腎臓病の患者さんには糖尿病や高血圧の高齢者が多くなっています。気がつかないうちに発症・進行していることも多いので、注意が必要です。
また、脂質異常症、メタボリックシンドローム、尿酸の値が高い高尿酸血症、喫煙などは、慢性腎臓病を悪化させると考えられています。

慢性腎臓病の症状

腸内細菌と慢性腎臓病

慢性腎臓病との関係が新たに注目されているものがあります。腸内細菌です。

腸内細菌

腸内細菌は私たちの腸の中に常に生息している多数の細菌で、体に良いいわゆる善玉菌や、良くない悪玉菌があります。そのバランスが崩れ、善玉菌が減り悪玉菌が増えると、尿毒素という物質が多く作られます。

腸内細菌

尿毒素は慢性腎臓病でたまる老廃物のうち体に有害なものをいいます。尿毒素は慢性腎臓病をさらに悪化させます。この尿毒素の一部を腸内細菌が作り出しているのです。

慢性腎臓病が進行

そして悪玉菌が増えると、尿毒素が増え、慢性腎臓病が進行します。それにより悪玉菌がさらに増えるという悪循環も起こります。

東北大学大学院 教授 阿部高明さん

この悪循環を断ち切る方法として、東北大学大学院 教授 阿部高明さんは、便秘薬を利用することを思いつきました。

便秘薬が慢性腎臓病の進行を抑える?

便秘薬は便秘を解消させ善玉菌を増やします。これにより腸内細菌が作り出す尿毒素も減り、慢性腎臓病の進行も抑えられるだろうと、阿部さんは考えたのです。

腸内細菌と慢性腎臓病

阿部さんは、慢性腎臓病を発症したマウスにある便秘薬を投与しました。その結果、予想どおり腸内細菌では善玉菌が増え、慢性腎臓病の進行も抑えられました。現在は慢性腎臓病の患者さんを対象に、この便秘薬の効果を確かめる臨床試験が行われています。

「便秘があると慢性腎臓病が悪化しやすい」という観察研究が最近報告され話題になっていますが、阿部さんの研究は、さらに便秘薬の慢性腎臓病への効果を実際に確かめるもので、将来の新しい治療法につながる可能性もあります。ただし、便秘そのものが慢性腎臓病の原因ということではありません。そこは誤解しないようにしてください。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2019年2月号に詳しく掲載されています。

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