武田双雲さんに聞く 発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)への思い

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書道家の武田双雲さんは2年前、発達障害の一つ、ADHD(注意欠如・多動症)ではないかと公表しました。専門家からもADHDの可能性が高いと指摘を受けています。
双雲さんは子どもの頃から忘れ物が極端に多く、思いつくとすぐに行動してしまうと言います。発達障害に対する思いを聞きました。

骨折ばかりの少年時代

子ども時代の双雲さんは、骨折ばかりでした。危険なことであっても、好奇心を感じてしまうと、考えるより先に身体が動いてケガばかりしていました。
学校の授業でも突然、手をあげては質問してしまいます。国語の授業中、教室のカーテンの揺れが気になってしまい、「なんで風は直線なのにカーテンは曲線で揺れるんですか」といきなり質問。「何を言っているんだ?」と先生やほかの生徒はとまどっていたそうです。

部活の試合中なのに

双雲さんは中学校では野球部、高校ではハンドボール部に入部しました。身体が大きくて、左利き。運動神経も悪くない。活躍が期待された双雲さんですが、試合になると思わぬカベがありました。興味があちこちに移ってしまい、試合に集中できないのです。チームのなかで孤立していき、次第に仲間外れになってしまいました。

アルバイトで大失敗

双雲さんはアルバイトもうまくいきませんでした。年賀状の仕分けバイトでは、すぐにクビになってしまいます。宛名の文字に感動してしまい、作業が進まないことが理由でした。
子どものころから、花の形や、葉が落ちる様子などに感動してしまう双雲さん。そうした特性は今も続いています。取材の日、雨の匂いを強く感じた双雲さんは、季節の移り変わりについての感動を書に表してくれました。

書道_1

夏_2

合わない環境から逃げること

双雲さんは、自分に合わない環境からは「逃げること」を勧めます。努力してもできないことがあるからです。そして、これからの時代は「発達障害が才能」であり、逃げたとしても活躍できる場所があるはずだと言います。
こうしたポジティブな考えを持てるのは両親の影響があります。競輪ライターの父と書道家の母は、双雲さんに「ちゃんとしなさい」とは一言も言わず、いつも「すごい!天才だな!」と本気で感動していました。それが自尊心につながったと言います。

できないことをさらけだす

双雲さんは「できないこと」をあらかじめ周囲に対して説明しています。すると周りが理解をしてくれて、手を差し伸べてくれるそうです。
事務所のスタッフにも「できないこと」を伝えています。秘書の宮崎さんは「双雲さんの特性はいろいろある個性のうちの一つ」と理解していて、こまめにリマインドするなどしてサポートしています。また、あらかじめ特性を理解しているので、双雲さんが打ち合わせ中に絵を描きだしても「気にならない」と言います。

秘書

落書き

新たな創作の源

双雲さんは、2年前にADHDという自分の特性の根拠を知ったことで、「すごく楽になった」と言います。そして、いま、自制していた枠を取り払って新たなアートに取り組んでいます。アトリエに飾られているのは「楽」をテーマにした作品。自分の特性を大切にして、「楽に(リラックス)、楽しく(エンジョイ)」過ごして欲しいというメッセージをこめています。そのときどきに感じたことをそのまま表現して、この半年間で100枚近くも描いています。

緑

2枚の楽