原因不明?!画像検査で胃に異常が見つからないのにつらい症状!機能性ディスペプシア

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原因不明の不快感が続き生活の質が著しく低下する機能性ディスペプシア

ディスペプシアとは

「ディスペプシア」は、胃の痛み胃もたれなど、腹部の不快な症状を示す医学用語で、これらの症状はディスペプシア症状と呼ばれています。ディスペプシア症状で受診する患者はたくさんいますが、画像検査をしてもはっきりした病気が見つからないことが少なくありません。異常が見つからないけれども、そのつらい症状は、胃の機能に異常があって起こっているとの考えから、機能性ディスペプシアという病名がつけられました。

2013年からは、保険で治療できるようになりました。ディスペプシア症状が1週間に2~3回以上起こる状態が1か月以上慢性的に続いていれば、機能性ディスペプシアと診断されます。患者数は結構多く、健康診断を受けた人を対象にした調査では11~17%に機能性ディスペプシアがあるとされています。

しかし、機能性ディスペプシアの人がすべて医療機関で治療をしているわけではないため、つらい症状を我慢している人は相当数いるのではないかと考えられています。

機能性ディスペプシアの原因

機能性ディスペプシアの原因

症状を起こす主な原因は、胃の運動異常と胃の知覚過敏です。口から入ってきた食物は、胃酸で溶かされるだけでなく、胃が動くことでもみほぐされて消化します。そうした食物を胃から十二指腸に送る運動に異常があると胃もたれなどの症状が出てきます。それから、本来、食事をすると自動的に胃の上のほうが膨らみ食物を貯める働きがありますが、その膨らみが悪いと、少し食べただけですぐにおなかがいっぱいになることも分かっています。

胃の知覚過敏は、胃の感じ方が敏感になっている状態を言います。胃酸が多く分泌されているわけでなく、健康な人と同量の分泌量であっても、酸に対する刺激が強く感じるのです。胃の運動異常と知覚過敏を起こす大きな原因になっているのがストレスです。不安抑うつ、また、幼少期に虐待歴がある人などは、胃や腸の運動や感覚に変化が起こりやすいと言われています。胃の運動を調整しているのが自律神経ですが、自律神経はストレスや不安の影響を受けやすく、自律神経の乱れが機能性ディスペプシアの原因と考えられています。

十二指腸への刺激と胃の不快な症状の関係

酸の十二指腸内注入とディスペプシア症状

機能性ディスペプシアは、以前から、サルモネラ感染などの感染性胃腸炎にかかったことがある人に起こりやすいことが報告されていました。そこで、十二指腸への刺激と胃の不快な症状が関連しているのか、さまざまざ研究が行われています。

健康な人を対象に、十二指腸に水を注入した場合と、胃酸と同じ酸度の液体を注入した場合では違いがあるのか調べたデータがあります。それぞれ注入から6分後に症状を確認したところ、酸を注入したときにさまざまな胃の症状が現れました。このことから、十二指腸への酸の刺激が胃の症状・ディスペプシア症状を起こす傾向があることが分かりました。
そして、胃酸だけでなく、食物や腸内細菌などによる十二指腸への刺激もディスペプシア症状に影響しているのではないかと、現在、さらに研究が進められています。

治療にも予防にも大切な生活の見直し

治療

胃の動きや感じ方は、自律神経に大きく影響されます。機能性ディスペプシアの患者は、睡眠不足不規則な生活などを見直すだけでも症状が改善する場合があります。ストレスをためないというのはなかなか難しいですが、仕事や家庭など、症状が出るきっかけとなるストレスが自覚できているのであれば、その原因をできるだけ少なくする工夫をしたり、受け止め方を変える工夫をしてみることが大切です。

そのためには、「自分を客観的に見てみる」と良いでしょう。自分を客観視することで、実はたいした問題ではなかったと思えるようになって気持ちがだいぶ楽になることがあります。機能性ディスペプシアはストレスが大きな原因のため、診断がつくだけでも不安感がなくなり、症状が軽くなる人もいます。決まった状況で胃の不快な症状が出てくるのであれば、機能性ディスペプシアの可能性がありますので早めに受診して下さい。

薬の治療

治療薬

機能性ディスペプシアは、治療をすれば改善できる病気です。治療で主に使われる薬は、運動機能改善薬胃酸分泌抑制薬です。不安感が強く、それが症状に大きく影響していると考えられた場合は、抗不安薬を併せて使用することもあります。

現在は、漢方薬の六君子湯も使われる場合があり、選択の幅も広がっています。運動機能改善薬か胃酸分泌薬が第一選択薬になりますが、初期治療を行って改善が見られない場合は、4週後を目安に薬を切り替えます。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年11月号に詳しく掲載されています。

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