詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年11月 号に掲載されています。

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胃潰瘍は、胃の粘膜や組織が深くえぐれてしまう病気です。えぐれる場所が血管の近くになると、出血してしまうこともあります。胃潰瘍は一晩でできると言われており、ある日突然発症し、通常は発症したその時の病状が一番ひどく、時間が経つにつれて治っていく病気です。
しかし、重症の場合は、胃の壁に穴があいたり、胃の出口が狭くなって食べ物の通りが悪くなることもあり、命にかかわることもあります。胃潰瘍になると、強い痛みが起こって気づきやすい気がしますが、自覚症状は個人差があり、大きな潰瘍ができても痛みを感じない人もいますので、痛みがないから安心というわけではありません。
胃潰瘍の原因の70~80%を占めるのがピロリ菌の感染。その他の原因とされているのが、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)です。NSAIDsは痛み止め(鎮痛薬)として処方されることが多いですが、血液が固まりにくくする効果を狙って処方されるアスピリンもNSAIDsの一種です。脳梗塞や心筋梗塞などを起こした人が再発予防として低用量アスピリンを長期服用していると胃潰瘍になりやすくなるため注意が必要です。
NSAIDsは、炎症を起こすプロスタグランジンという物質が作られるのを防ぐ薬であるため、痛み止め(鎮痛薬)として用いられています。NSAIDsを服用してプロスタグランジンが減ると、炎症が起こっている部位では炎症が少なくなります。
しかし同時に、胃の粘膜を保護する粘液も抑える効果があるため、胃酸を通しやすくなり、胃の粘膜を傷つけやすくしてしまう特徴があります。
胃潰瘍を起こすのは、処方薬を継続して服用している場合がほとんどですが、最近は処方薬と同じ成分の薬が市販薬として購入できるようになっているため、頻繁に服用している人は注意したほうが良いと思われます。
関節炎などで整形外科を受診した場合、痛み止め(鎮痛薬)としてNSAIDsが処方されることがあります。その場合、胃の粘膜を守るための胃粘膜保護薬も併せて処方されることが多いのですが、胃粘膜保護薬を服用していても胃潰瘍になってしまう人が多くいます。
病気の治療でNSAIDsを服用している人や胃潰瘍を起こしたことがある人は、胃潰瘍の予防薬として、PPI(プロトンポンプ阻害薬)が保険で処方してもらえるようになっています。
自覚症状で多いのは、胃の痛み・ムカつきです。重症の場合は、下血または吐血することもあります。痛みがないのに、突然下血したり吐血することもあります。出血して貧血になると動悸(き)や息切れ、立ちくらみも起こることがあります。
ピロリ菌感染が原因で発症する胃潰瘍の場合は、穿孔(せんこう)という、胃に穴があいて貫通してしまう合併症を起こす危険性もあります。その場合は非常に激しい痛みが起こります。軽症の場合は薬をのまなくても痛みは1~2週間で治まり、多くは2か月程度で自然に治りますが、出血していたり痛みが続く場合は自然に治りにくいため、治療が必要です。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年11月 号に掲載されています。