【片づけができなくて。ずっと"普通"の人になりたかった 】ADHDの悩み

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広野ゆいさん
ADHD(注意欠如・多動症)
片づけが苦手/忘れ物が多い/集中が続かない

発達障害のひとつ、ADHD(注意欠如・多動症)の人には、物事を計画立てて実行することが難しく、注意が次々と移ってしまう特性があり、整理整頓や片づけが苦手な人が少なくありません。
広野ゆいさんも、片づけができないことにずっと悩んできました。

特に片づけられないのが書類や本などの資料類と衣類。棚やタンスに収納することができず、床や机に山積みにしています。

「どうしても、書類は山積みになっちゃうんです。でも、一応この辺が書類、向こうが服っていうエリア分けはしていて、混ざらないようにはしています。」

片づかないのは部屋の中の物が多すぎるのが原因では、と考えたこともあるそうですが・・・

「捨てるのがやっぱり怖いんですよね。」

Q:こわい?

「だって、必要な物が混ざってたらどうしようって思ってしまうんです。捨てないと片づかないことは分かっているんですが。」

片づけが苦手なのは、子どものころからでした。物心ついたときには、どんなに頑張っても他のみんなと同じようにはできないと感じていたといいます。

「もう物心ついたときには片づけられなかったです。自分はダメな子だっていう感じがすごく強くって。もう小学生のときには"みんなみたいにできなきゃいけない"っていう脅迫観念があったような気がします。"普通の人にならないといけないんだ"っていう感じがすごくありました。」

結婚後は専業主婦になりましたが、相変わらず片づけはできないまま。夫からは、そのことを責められたといいます。

「結婚してからは、自分のことだけじゃなくて旦那さんのことも子どものこともやらないといけないということで、一気にキャパオーバーになっちゃいました。たとえばダイニングテーブルは結構大きかったのに、モノがいっぱい載っちゃってて、御飯が食べられないとか。夫は「こんな家に帰って来る俺の気持ちになってみろ」って言っていましたが、私自身も「そのとおりだな」と思っていました。片づけできない人間は人として認めてもらえないという感じがずっとあったんです。だから当時は、片づけさえできるようになったら、自分も普通の人になれるんじゃないかなって思っていました。普通の人になりたかったんです。」

広野さんがADHDだと分かったのは27歳の時です。診断によって、初めて片づけられない原因が分かりました。

「それまでは努力不足だから片付けができないって思ってきたんですよ。でもADHDが原因だということや、普通の人は特別に頑張らなくても片付けができてるんだということが分かったときは衝撃でした。私はいくら努力をしても普通の人にはなれないんだっていうことに気づいたんです。だから、普通の人になるための人生はやめなきゃいけないなって思いました。普通の人になることをあきらめてADHDである自分を受け入れないといけないと思ったんです。」

「普通の人のようには片づけができない」ことを受け入れた広野さんは、部屋全体を片づけるのをあきらめ、自分にとって大事な場所だけを片づけることに考え方を変えました。リビングはぐちゃぐちゃでも、子どもと食事をする食卓だけは、きれいに保つように心がけるようにしました。

「ちゃんとご飯が食べられて家族で話す場所があるっていうのを一番大事にしようと思っています。自分のできる範囲っていうのを大事にしないと生活が全部崩れちゃうので、食卓だけが片づいているというのは自分にとって良い状態なんですよ。」

発達障害であることを受け入れ、"普通"であることにとらわれなくなったことで、広野さんは考え方が大きく変わったといいます。

「ADHDだと分かる前は、ずっと自分を否定してきて、自分のことが大嫌いで、もういなくなればいいのにと思って生きてきたんですけど、自分はこういうタイプの人間なんだって受け入れることによって、自分にも何かできることがあるかもしれないとか、自分なりのやり方とか生き方をしてもいいんだってことが分かって、すごく大きく見方とか考え方とかが変わったなと思います。
みんながどうしているとか、普通はどうだって考えるとうまくいかなくなっちゃうんですね。普通じゃないとだめなんだって思っている人には「普通じゃなくてもいいんだよ」って言ってあげたいし、周りの人も「自分なりのやり方でいいんだよ」って言ってあげてほしいなって思います。」