【患者体験談】乳房の全摘から乳房再建へ「乳がん」

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乳がんになったとき -私のチョイス-

気になる胸の塊

Aさんが右胸に違和感を覚えたのは49歳のときでした。生理の度に右胸が張って、塊のようなものができ、そこが痛むのです。ところが、生理が終わると塊は無くなってしまうので、それほど気にせずにいました。
しかし、その年に受けた勤務先の健康診断で乳房の精密検査を勧められ、実際に検査を受けてみると、右乳房に3cmほどの大きながんが見つかりました。

全摘か?温存か?

乳がんの治療は、基本的に手術ですが、Aさんは手術の前に、ある治療を受けることになりました。それは抗がん剤による治療です。少しでもがんを小さくして取りやすくするためです。
すると半年後、乳房にあったがんは、画像ではほとんど確認できないほど小さくなりました。これだけ小さくなれば乳房の一部だけを取り除く「乳房温存手術」が可能です。
しかし、Aさんがチョイスしたのは、がんができている乳房をすべて摘出する「乳房切除術」でした。乳房温存手術ができるのに、どうしてAさんは乳房切除術をチョイスしたのでしょうか。

「当時私は硬がんと言われていました。硬がんは転移や再発をしやすいという情報がたくさんあったので、まずは、がんを取るための手術を選択しました」

乳房を全て切除したAさん。手術は無事成功し、一週間の入院の後、退院することができました。

切除後、左右のバランスが崩れた

乳房切除術で右の胸を失ったAさん。その後2年間は胸の膨らみが無い状態でした。そこで膨らみを作るために乳がん手術後専用のブラジャーを購入しました。ブラジャーの内側にはポケットがついていて、パッドなどで胸の大きさを調整できるようになっています。色々工夫しながら使っていましたが、不便なこともあったといいます。

「左右の胸の重さが違うので、軽い方が上がってしまったり、洋服によっては、どうしても胸元の段差が出てしまったりするので、襟元のある服が多くなりました。一番困ったのが、右の乳房を切除したら乳房分の重さが減ったので、体のバランスが崩れてしまったこと。気がつけば肩の位置が変わっていたりもしました。」

乳房再建のチョイス

そこでAさんは、失った乳房のふくらみを取戻す「乳房再建」をすることにしました。乳房再建には、シリコンのインプラントを使う方法と自家組織を使う方法があります。Aさんがチョイスしたのは「自家組織による乳房再建」でした。自分のお腹や背中などから脂肪や筋肉を移植して乳房の形を作る手術です。
「温かい胸が欲しかったんです。自分が年齢を重ねても、同じように形が変わっていく胸が欲しいなって思いました。」

自家組織による乳房再建で、自分の体の組織でできた自然な乳房を取り戻したAさん。2年後には、乳輪乳頭も再建しました。全ての手術が無事に終わりました。
「乳房を取り戻したことで、これからは自信を持って生きていける、いろんなことにチャレンジしたいって思うようになりました。」

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この記事は以下の番組から作成しています

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