B型肝炎の進行と治療開始のタイミング

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B型肝炎 主な感染経路

B型肝炎 主な感染経路

B型肝炎は、「血液」や「体液」を介して感染します。国内のB型肝炎感染者の多くは、乳児期の母子感染によるものです。ウイルスを持つお母さんから、出産前後に赤ちゃんへと感染したケースです。しかし、現在はB型肝炎ワクチンなどの予防接種などの対策がとられているので、新たな母子感染はほぼ防ぐことができます。1歳以下で感染した乳児の80%から90%で、6歳未満で感染したお子さんの30%から50%で慢性化するといわれています。出生後、可能な限り早く接種するようにしましょう。

もうひとつの感染経路「体液」は、思春期以降の性交渉による感染です。そのほか、ピアスの穴あけ、タトゥー・入れ墨などに使用した器具を、適切に消毒しないで別の人に使ったために、感染するケースもまれにあります。
B型肝炎に感染したあとの進行のしかたや適切な対応や治療法は、乳児期の感染と思春期以降の感染で、大きく異なります。

乳児期 感染

乳児期 感染

乳児期に感染した場合

乳児期は、免疫が未発達でウイルスを攻撃しないため、肝炎はほとんど起こりません(キャリア)。成長に伴い免疫が発達してくると、ウイルスを異物とみなして攻撃するようになります。そのため、乳児期に感染した患者さんの多くは、思春期から30歳代で肝炎を発症します。

一方、ウイルスは免疫による攻撃を避けるために、遺伝子を変異させます。すると、免疫はウイルスを異物としてみなさなくなり、攻撃をしなくなるので肝炎は起こらなくなります。ウイルスの量は低下します。このような状態になることをセロコンバージョンといいます。乳児期の感染から肝炎を発症した人の80%以上は、セロコンバージョンによって、非活動性キャリアになります。
セロコンバージョンが起こらず、慢性肝炎に移行した場合は治療が必要です。治療によってウイルスの増殖を抑えることができれば、非活動性キャリアになります。ここで治療をせずに放置すると、肝硬変や肝がんにつながります。

思春期以降の感染

思春期以降の感染

思春期以降に感染した場合

免疫が十分に発達しているため、感染すると、多くの人は急性肝炎を発症します。治療の基本は安静で、ほとんどの人は数週間でウイルスが排除できて自然に治癒します。急性肝炎の発症した人のうちおよそ1%の人で、免疫が強く働いて多くの肝細胞が一気に壊される劇症肝炎を発症することがあります。

劇症肝炎にかかると急にかぜのような症状が現れます。主な症状は発熱やけん怠感、黄疸(おうだん)などです。劇症肝炎は命に関わる危険があるため、迅速な治療が必要です。急性肝炎が改善せず慢性肝炎に進んだ場合は、治療をしてウイルスの増殖を抑えます。ここで治療をせずに放置すると、肝硬変や肝がんにつながります。

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詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年7月号に詳しく掲載されています。

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