腰痛・脚のしびれや痛み!合併しやすい腰部脊柱管狭窄と末梢動脈疾患とは

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腰部脊柱管狭窄(きょうさく)と末梢(まっしょう)動脈疾患とは

腰部脊柱管狭窄は「骨と神経の病気」、末梢動脈疾患は「血管の病気」と全く違うのですが、実は、この2つの病気は、症状がよく似ています。

共通している症状は「間欠跛行(かんけつはこう)」。間欠跛行は、長く歩いていると腰痛や脚のしびれ・痛みなどの症状が強くなって歩けなくなり、少し休むと回復して、再び歩けるようになるものです。発症しやすい年齢も共通していて、どちらも「60歳以上」です。

腰部脊柱管狭窄、末梢動脈疾患

40歳以上の腰部脊柱管狭窄の推定患者数は約365万人ですが、そのうち7~26%が末梢動脈疾患を合併しているというデータがあります。人数にすると24万~95万人。合併している人が非常に多いことがわかります。
末梢動脈疾患は命に関わることがあるので、どちらの病気なのか、合併しているのか、きちんと診断してもらう必要があります。

腰部脊柱管狭窄なのに末梢動脈疾患と診断されているケースや、末梢動脈疾患なのに腰部脊柱管狭窄と診断されているケース、そして、2つを合併しているのに正しく診断されていないケースが実際にあるといいます。

腰部脊柱管狭窄の詳しい症状についてはこちら

※「末梢動脈疾患」は、以前、「閉塞性動脈硬化症」と呼ばれていましたが、現在は、そのほかいくつかの病気を含めて、国際的に「末梢動脈疾患」に統一されています。「PAD」や「末梢血管障害」とも呼ばれています。

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『下半身の動脈が狭くなったり詰まってしまう閉塞性動脈硬化症』

腰部脊柱管狭窄と末梢動脈疾患の見分け方

しびれ・痛みがなくなる姿勢

歩いていると症状が強くなって歩けなくなり、少し休むと回復する「間欠跛行(かんけつはこう)」。腰部脊柱管狭窄と末梢動脈疾患は、これが共通していて見分けにくいのがですが、見分けるための良い方法があります。

それは、間欠跛行の症状が現れたときに、「しびれ・痛みがなくなる姿勢」を調べること
腰部脊柱管狭窄の場合、まっすぐに立って休んでも、しびれ・痛みはあまり取れません。しかし、「前かがみ」になって休むと、すぐにしびれ・痛みがなくなります。

一方、末梢動脈疾患の場合は、まっすぐに立って休むだけで、しびれ・痛みがなくなります。ただし、しびれ・痛みがなくなるのは、すぐにではなく、10分以内に徐々になくなります。
この違いで見分けることはできますが、2つが合併している場合は見分けることは困難です。
「末梢動脈疾患」かどうかは、腕と足の血圧を同時に測定する「ABI検査(※)」を医療機関で受けることによって診断されます。腰部脊柱管狭窄を治療しても、なかなかよくならない場合は、「ABI検査」を受けてみましょう。

※ABI検査についての記事

『動脈硬化の検査法「ABI」「PWV」「FMD」それぞれの特徴や相違点』

腰部脊柱管狭窄と末梢動脈疾患が合併しているときの治療

腰部脊柱管狭窄と末梢動脈疾患 合併していた場合の治療

治療を優先するのは重い方の病気

「腰部脊柱管狭窄」と「末梢動脈疾患」の2つを合併している場合は、病気が重いほうの治療を優先します。
まず、腰部脊柱管狭窄による膀胱(ぼうこう)直腸障害などがあって、腰部脊柱管狭窄の方が重い場合は、腰部脊柱管狭窄の治療を優先して行います。

次に、末梢動脈疾患による足の潰瘍などがあって、末梢動脈疾患の方が重い場合は、末梢動脈疾患の治療を優先して行います。末梢動脈疾患は血液外科や循環器内科で治療します。
そして、腰部脊柱管狭窄も末梢動脈疾患も同じくらいの場合は、より命に関係しているのは、末梢動脈疾患なので、末梢動脈疾患の治療を優先させます。

「腰部脊柱管狭窄の治療 薬?手術?」詳しくはこちら末梢動脈疾患の関連記事「閉塞性動脈硬化症の治療は生活改善が基本」はこちら

腰部脊柱管狭窄と末梢動脈疾患が合併した患者さんの症状と治療方法

2つが合併している患者さんの例です。
ある68歳の男性は、間欠跛行(かんけつはこう)と下半身の脱力感を訴え、病院を受診。MRIで腰部脊柱管狭窄と診断されました。

その後、薬による治療とリハビリを2年間行いましたが、症状は悪化していったため、手術を受けることになり、別の病院を受診。その病院でABI検査を受けたところ、末梢動脈疾患であることがわかりました。血管外科でステントを使って、末梢動脈疾患の治療を行ったところ、症状は改善。腰部脊柱管狭窄の手術をする必要がなくなりました。

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詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年7月号に詳しく掲載されています。

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