入浴拒否、ものとられ妄想、徘徊(はいかい)といった認知症のBPSD(行動・心理症状)は改善できる

更新日

BPSDには環境や人間関係が影響

認知症の症状

BPSDは、中核症状のために本人が混乱したり落ち込んだりした結果として起こります。BPSDの中には不安、戸惑い、自分を責める、悲哀、絶望、不適切な摂食・排泄,睡眠覚醒リズム障害、入浴の拒否などさまざまなものがあります。
このBPSDには、本人を取り巻く環境や人間関係が大きく影響し、それが好ましくない場合、暴言・暴力、徘徊(はいかい)、妄想などにつながることもあります。

しかし、BPSDの中には、環境や人間関係の調整によって改善できるものがあります。中核症状は、脳の障害が直接の原因で起こるために改善は難しいのですが、それとは異なります。

入浴拒否のケース

入浴拒否のケース
入浴拒否のケース

認知症の人が入浴をいやがり、無理に入らせようとしてトラブルになることがあります。認知症の人にとって入浴は、準備や手順が大きな負担であることをまず知っておきましょう。本人が入浴したいタイミングを無視して、無理やり入浴させていないか反省することも必要です。「たまには背中でも流そうか」と声をかけたり、本人が翌日出かける予定なら「体をきれいにして出かけたら」とすすめたりするような工夫はいかがでしょうか。

ものとられ妄想のケース

ものとられ妄想のケース
ものとられ妄想のケース

認知症の人が物をなくした場合、身近な人に「あなたが盗んだんでしょう」と疑いを向けることがあります。「ものとられ妄想」と言います。
疑われた人は困惑しますが、頭ごなしに否定せず、大切な物がなくなった本人の気持ちになって耳を傾けてください。本人が「みんなも心配してくれている」と感じれば、「盗んだんだろう」とまでは言わなくなるでしょう。疑いが完全に晴れなくても「みんなと仲よく暮らせればよい」と思うこともあるようです。

徘徊(はいかい)のケース

徘徊

認知症の人は黙って外に出て行き、道に迷ってしまうことがあります。自分のいる場所や時間の見当がつかなくなることが関係しますが、それだけで片づけてはいけません。落し物を探す、友人に会いたいなど何らかの理由があって外出したり、気晴らしに散歩したりしていることもあります。
また自分の家の居心地がよくなくて、出て行くこともあるでしょう。認知症の人はそうした気持ちを言葉にできないだけかもしれないのです。まず本人の話をよく聴き、そうした理由がわかったら、しっかり対応してください。

BPSDの改善法まとめ

BPSDを改善するには

BPSDの改善法は3つに分けられます。まず、ここまで述べてきた環境や人間関係の調整です。
次に非薬物療法です。軽く体を動かす運動療法、歌や楽器を楽しむ音楽療法、懐かしい写真を眺めたり昔のことを語り合ったりする回想法などです。これらはデイサービスなどで専門家と一緒に行います。

こうした方法ではBPSDが改善しない場合、薬を使うこともあります。ただし薬の副作用で無表情になったり活気が低下したりすることがあるため、特に慎重に使います。

『Q&A アルツハイマー病』はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年6月号に詳しく掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキスト発売中
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321まで
くわしくはこちら