喫煙のリスク
喫煙はがんや心臓病、脳卒中、肺の病気などさまざまな病気の原因になります。
また、喫煙は周囲にも害を与えます。本人は喫煙しなくても身の回りのたばこの煙を吸ってしまうことを受動喫煙と言います。日本では、受動喫煙が原因で年間1万5000人が死亡していると考えられています。
なぜ禁煙できない?
喫煙者の多くが、禁煙をしたくてもなかなかできないのは、ニコチン依存症という状態になるためです。
たばこに含まれるニコチンが、脳の特定の神経細胞の受容体に結びつくと、快感をもたらす「ドパミン」という物質が過剰に放出されます。そのため、ニコチンが少しでも切れると、イライラする、集中力がなくなる、気分が沈む、眠くなるといった離脱症状が現れ、喫煙せずにはいられなくなり、喫煙を繰り返します。これがニコチン依存症です。
ニコチンは、麻薬以上に依存性が強いといわれています。
喫煙によってストレスが解消されるという人もいますが、そのストレスは、ニコチンが切れたことによる離脱症状の可能性も高いと考えられます。
「たばこが恋しい」心理的依存とは?
医療機関の禁煙治療で禁煙に成功しても、年月がたつと再び喫煙する人が増えてきます。それは、心理的依存が原因です。
喫煙への依存には、ニコチンという物質による身体的依存と「たばこが恋しい」という心理的依存があります。
身体的依存は薬で対処でき、週や月の単位で消えていきます。しかし、心理的依存は薬では対処できず、その後何年も消えません。
心理的依存は、「仕事などでつらいときや落ち込んだときに、喫煙することで解消できた」「嬉しいことがあったときに吸った一服が、とても気分がよかった」など、喫煙に良い記憶やプラスのイメージが強く残っている場合に起こります。つらい状況や嬉しい状況になると、その記憶がよみがえり、吸いたい気持ちが起こります。
「たばこは健康に悪くないのに」と、禁煙に「マイナスのイメージ」が強い場合も、禁煙を続けることが難しくなります。
このように、たばこに関する誤ったイメージが心理的依存につながります。
再び喫煙しないために
再び喫煙しないためには、まず、「家族の協力」が大切です。禁煙に成功したら家族は、「うれしい」という気持ちをはっきり伝えてください。またほめてください。
次に、飲み会に注意が必要です。アルコールを飲むとたばこを吸いたくなることがよくあるためです。また、周囲に喫煙者がいると、つられて吸いたくなることもあります。禁煙していることを伝え、断わるよう心がけましょう。
そして、たった1本がきっかけで、もとの喫煙習慣に戻ってしまうことがありますので、「1本くらいなら」という気持ちは捨てましょう。