詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。

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医療機関の禁煙治療で禁煙に成功しても、年月がたつにつれ再び喫煙する人が増えてきます。その理由は、「たばこが恋しい」という心理的依存です。たばこへの依存には、ニコチンという物質に対する身体的依存のほかに心理的依存があります。身体的依存は薬で対処でき週や月の単位で消えていきます。しかし、心理的依存は薬では対処できず、その後何年も消えていかないのです。
喫煙者の多くが、禁煙をしたくてもなかなかできないのは、ニコチン依存症という身体的依存の状態になるためです。
たばこに含まれるニコチンが、脳の特定の神経細胞の受容体に結びつくと、快感をもたらす「ドパミン」という物質が過剰に放出されます。そのため、ニコチンが少しでも切れると、喫煙せずにはいられなくなるのです。また、同じ量のニコチンでは次第に満足できなくなり、喫煙量が増えていきます。ニコチンは、麻薬以上に依存性が強いといわれています。
禁煙したくてもできない人には、禁煙治療が勧められます。
『禁煙治療について』はこちらニコチンが切れると、イライラする、集中力がなくなる、気分が沈む、眠くなるといった離脱症状が現れます。朝起きて1~2本しか吸わないので、依存症ではないと思っている人もいますが、朝起きて習慣的に喫煙してしまうのであれば、ニコチン依存症といえます。
たばこがストレス解消になるという人もいますが、そのストレスはニコチンが切れたことによる離脱症状である可能性も高いと考えられます。
心理的依存についてさらに説明しましょう。
たとえば「仕事などでつらいときや落ち込んだときに、たばこで解消できた」「嬉しいことがあったときに吸った一服が、とても気分がよかった」などのように、喫煙に関する「良い記憶」「プラスのイメージ」が強く残っている場合、同じように つらい状況や嬉しい状況になると、その記憶がよみがえって同じように吸いたくなってしまうのです。反対に、「たばこは本当は健康に悪くないのに」と思い込んでいるなど、禁煙することに「マイナスのイメージ」が強い場合も、禁煙を続けるのは難しくなります。
このように、たばこに関する誤ったイメージや思い込みが心理的依存につながるのです。
では、再び喫煙しないためにはどうしたらいいのでしょう。
まず「家族の協力」が大切です。禁煙に成功したら、家族は「うれしい」という気持ちをはっきり伝えてください。また ほめてください。
次に「飲み会に注意」です。アルコールを飲むとたばこも吸いたくなることがよくあります。周囲に喫煙している人がいると、つられて吸いたくなります。禁煙のためには飲み会はできるだけ避けたほうがいいのです。また、飲み会で喫煙をすすめられても「私は禁煙しています」ときっぱり断りましょう。
また「たった1本」と思わないことです。たった1本がきっかけで、またたく間にもとの喫煙習慣に戻ってしまったという例をよく聞きます。「1本くらいなら」という気持ちは捨てましょう。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。