危険な合併症も!おたふく風邪の原因や感染経路、症状、治療法

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流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)はれている熱がある頭が痛い

おたふくかぜとは?

おたふくかぜは正式には流行性耳下腺炎(じかせんえん)といいます。感染力が強く、子どもの頃にかかる病気という印象を持つ方は多くいらっしゃいます。

おたふく年齢別

実際に小児科を受診したおたふくかぜの患者を年齢別の割合で見てみると、大体、4歳の幼児ぐらいから、小学校低学年ぐらいまでが多いことがわかります。

ムンプスウイルスの感染により発症する

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おたふくかぜはムンプスウイルスの感染で起こります。ムンプスウイルスの主な感染経路は、飛まつ感染と接触感染です。飛まつ感染は、感染している人のせきやくしゃみ、会話などでウイルスを含んだ飛まつが飛び散り、周囲にいる人が鼻や口から吸い込んで感染します。飛び散ったウイルスが目の粘膜から体内に侵入して感染することもあります。

接触感染は、感染している人とキスをしたり、ムンプスウイルスが付着した手やドアノブ、手すりなどにふれた手で、口や鼻を触ったりすることなどで感染します。ただし、ウイルスが体の中に侵入した時に感染がしますので、体の表面にウイルスがついただけでは感染しません。

症状が出るまでに平均18日前後の潜伏期間がある

ムンプスウイルスに感染してからすぐに主な症状は出ず、平均18日前後の潜伏期間を経て発症します。症状が出る6日ほど前から唾液中にムンプスウイルスが排出されるため、目立った症状が現れずに感染していることを自覚できず、知らないうちに周りの人にうつしてしまうことがあります。保育所や幼稚園、学校などで集団的におたふくかぜが流行してしまうメカニズムには、この潜伏期間が関係していると考えられています。

おたふくかぜにかかっているかどうか調べたい場合は、抗体検査を受けることで確認することができます。抗体検査は、全国の内科や小児科のある医療機関で受けることができます。

「おたふくかぜの抗体検査」について詳しくみる

子供がかかった場合も合併症によって後遺症を起こす可能性がある

おたふくかぜにかかる合併症を引き起こす可能性があり、場合によっては後遺症が残ってしまうこともあります。おたふくかぜは大人になってから感染するよりも、子どもの頃にかかった方が良いという考え方がありますが、これは間違いです。子どもかかった場合でも合併症を引き起こし、後遺症が残ってしまう可能性があります。

「おたふくかぜの合併症と後遺症」について詳しくみる

おたふくかぜの症状

おたふく症状

おたふくかぜの代表的な症状は、熱が出て、片側または両側の頬や、あごの下の辺りが腫れることです。そのほか、発熱、頭痛、食欲低下、筋肉痛、けん怠感、首の痛みなどが現れることもあります。

唾液腺が腫れるメカニズム

おたふくかぜ

飛まつや接触によって体内に侵入したムンプスウイルスは、鼻やのどの器官の粘膜、首などのリンパ節で増殖したあと、血液の流れにのって全身に広がっていきます。その際、ムンプスウイルスが感染しやすい部位の1つとして、唾液を分泌する耳下腺や顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)といった唾液腺が挙げられます。
唾液腺ではムンプスウイルスを排除しようとする免疫機能が働き、炎症が起こります。その結果、唾液腺のある顔の周りが腫れて痛みが生じたり、発熱したりします。

おたふくかぜの治療

現時点では、ムンプスウイルスそのものに対する効果的な治療法が無いので、治療は対症療法になります。解熱薬や痛み止め(鎮痛薬)などを使い、症状を和らげます。医療機関では点滴で脱水症状を防いだりすることもあります。

口を開けたり、咀嚼(そしゃく)したりすると頬やあごなどが痛むので、食事は、刺激が少なくのどごしが良いものをとりましょう。また、唾液の分泌を促す酸っぱい食べ物などは避けましょう。水分補給をこまめにして、脱水を予防することも大切です。

おたふくかぜの予防法

おたふくかぜの予防にはおたふくかぜワクチンを接種することが有効です。 おたふくかぜワクチンは定期接種ではありませんので、自分で医療機関に行き、接種を受ける必要があります。

「おたふくかぜワクチンによる予防法」について詳しく見る『Q&A子どもの感染症』はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。

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