詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。

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脳梗塞に対する有効な治療法としては、発症から4時間半以内まで受けられる「t-PA」と、発症から8時間以内まで受けられる「血管内治療」があります。しかし、睡眠中に発症する脳梗塞では、これらの治療を受けられないことがあります。
睡眠中に脳梗塞を発症すると、就寝から起床までのどのタイミングで脳梗塞が起きたのかが分からず、従って有効な治療法の判断ができません。
また、このような発症時間の分からない脳梗塞は、「最後に元気だった時間(=就寝時刻)」を発症時刻とする決まりがあり(例えば、夜0時に就寝し、朝8時に起床して脳梗塞に気付いた人の場合、「夜0時に発症」と診断されます)、朝目覚める直前に脳梗塞を発症したとしても、治療を受けられない患者さんがいます。
そこで現在、この睡眠中に起こった脳梗塞の発症時間を、MRIを用いて特定する研究が進められています。
【1】これは、脳梗塞を発症した患者さんの脳を、MRIの撮影方法の一つ「拡散強調画像」で写した画像です。
特徴として、脳梗塞発症直後から病巣を確認することができます。
【2】一方、これは「FLAIR」という別の方法で撮影した画像です。この撮影方法では、発症から約3時間経つと脳梗塞が確認できます。
このように、拡散強調画像で脳梗塞が確認できるにもかかわらず、FLAIR画像で脳梗塞の変化がまだでていなければ、発症から3時間以内である可能性が高いことが明らかになってきました。
現在、この診断方法の精度を確かめるための臨床試験(THAWS試験)が、全国の医療機関で行われています。この研究が進めば、これまでは発症時刻が分からないので治療が受けられなかったケースでも、治療の可能性が見えてくると期待されています。
※2019年に研究は終了し、この治療が安全に実施できることが示されました。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年5月 号に掲載されています。