Aさん(67歳・女性)が左手の親指の付け根あたりに痛みを感じ始めたのは半年前のことでした。
はじめは時々「少し痛い」と感じる程度でしたが、痛みは日に日に増していきました。痛みを感じ始めてから3か月後には、右手でペットボトルのふたを開けるときに、痛みのために左手で支えることもできなくなっていました。
日常生活にさまざまな支障が出はじめたAさんは、近所の整形外科を受診しました。診断の結果、告げられた病名は「母指CM関節症」でした。
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Aさん(67歳・女性)が左手の親指の付け根あたりに痛みを感じ始めたのは半年前のことでした。
はじめは時々「少し痛い」と感じる程度でしたが、痛みは日に日に増していきました。痛みを感じ始めてから3か月後には、右手でペットボトルのふたを開けるときに、痛みのために左手で支えることもできなくなっていました。
日常生活にさまざまな支障が出はじめたAさんは、近所の整形外科を受診しました。診断の結果、告げられた病名は「母指CM関節症」でした。
母指、つまり親指の付け根にはCM関節と呼ばれる関節があります。関節には骨と骨の間に軟骨があり、クッションの役割を果たしています。この軟骨がすり減ったために、骨と骨がぶつかり炎症が起きて痛みが出るのが「母指CM関節症」です。変形性関節症の一種です。
Aさんの場合、比較的症状が軽かったため、炎症を抑える湿布を貼り、その上から関節に負担がかからないように固定するサポーターを使って安静を心がける治療を行うことになりました。
治療を続けて3か月、現在ではペットボトルのふたを開けるなどの日常生活の動作を行うことができるようになり、痛みも減ったといいます。
Bさん(53歳・女性)は、Aさんとは別の治療で母指CM関節症を治しました。
Bさんが母指CM関節症と診断されたのは、8年前、45歳のとき。X線写真で見ると、関節の軟骨がすり減って隙間がほとんどなくなり、さらに骨が外側にずれる亜脱臼も起こしていました。
そこでBさんは「関節形成術」という手術を受けることになりました。「関節形成術」とは、まず狭くなっている関節の下の骨の一部を取り除き、隙間を作ります。次に手首の腱の一部を切り取り、すり減った軟骨の代わりとして関節に挟み込みます。そして関節の上の骨に穴を開け、余った腱を通して固定します。これによって骨と骨がぶつからなくなり、痛みが起こらなくなるのです。
Bさんは手術を行った結果、関節に隙間ができ、骨の位置も元どおりになりました。
その後4か月間リハビリを続け、現在では絵を描く趣味も再開。今では右手で自由に筆を動かしても痛みはありません。「楽しみがまた復活したので嬉しいです。」と話しています。