生理前のつらい症状「月経前症候群(PMS)」の原因や治療法を解説

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生理前につらい症状が起こる
「月経前症候群(PMS)」とは

月経前症候群(PMS)とは

月経前症候群(PMS)は、生理期間が始まる前、長い人では10日ほど前から症状が起こり、生理が始まるまで続く不調です。

現在は、生理がある女性の30~40%ほどに月経前症候群があると推定されていますが、中には、社会生活が困難になるほどつらい症状を起こしている人もいます。受診して治療を行えば改善するのですが、生理前に不調が起こるのは当たり前と思い込んでいる人が多く、受診せず我慢している人が多いのです。

抑うつや頭痛など。月経前症候(PMS)の症状とは

月経前症候群の症状

月経前症候群は、人によって症状の現れ方がさまざまです。心理的な症状と身体的な症状があります。心理的な症状は、抑うつ気分、怒りの爆発、イライラ、不安感、混乱した気分などです。身体的な症状は、乳房の痛みや張り、おなかの張り、関節痛や筋肉痛、頭痛、体重増加、手足のむくみなどです。これらの症状のうち、どれか一つでも、過去の生理で3回以上連続して起こっている場合に、月経前症候群と診断されます。

月経前症候群による影響

月経前症候群による影響

月経前症候群は、生理のある女性であれば誰でも起こり得ます。そして、それぞれのライフステージで影響を及ぼします。思春期であれば、学校生活に支障を来します。症状がつらいために、学校を欠席しなければならなくなったり、試験や大事なイベントで本領発揮できないことがあります。働く女性の場合は、仕事に集中できずにミスが増えたり、人間関係を悪化させてしまうケースが目立ちます。家庭内の主婦の場合は、家事が手につかなかったり、イライラして家族に八つ当たりするケースが多いようです。気になる症状がある場合は、婦人科を受診してみましょう。

生理前に特に気分が不安定になる
「月経前不快気分障害(PMDD)」とは

PMDD

月経前になると感情が不安定になり、日常生活が全く送れないほど深刻な状態になる人が、生理がある女性の1.2%ほどいると報告されています。これは、月経前症候群の重症型で、月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれています。

PMDDでは、精神的な症状が重く出るのが特徴で、うつ病や双極性障害と間違われるほどです。「著しく感情が不安定」「著しい怒り・人間関係の摩擦」「抑うつ気分・絶望感・自己批判的思考」「著しい不安」などの症状があるかどうかが、診断の基準になります。PMDDを発症すると自制が困難になるため、子どもを虐待したり、夫婦関係が悪化して離婚に至ったりするケースもまれではありません。PMDDの治療は産婦人科だけでは難しいことがあり、その場合には、PMDDの治療ができる精神科などを紹介してもらい、適切な治療を受けることが大切です。

月経前症候群(PMS)の原因

月経前症候群(PMS)の原因

月経前症候群(PMS)が発症する直接の原因は不明ですが、女性ホルモンのひとつである黄体ホルモン(プロゲステロン)が関係しているのは確かとされています。黄体ホルモンは、子宮内膜を厚くして妊娠しやすい体を作るホルモンです。

排卵後の黄体期に多く分泌され、妊娠に備えて、食欲を増したり、基礎体温を上げたり、体の水分の排出を抑えたりするなど、体の中でいろいろな現象を誘発します。妊娠が成立しないと、黄体ホルモンの分泌は急激に減り、不要になった子宮内膜を体の外に排出する月経が起こります。この黄体ホルモンの増減が、体に何らかの作用をして、さまざまな症状を引き起こしていると考えられています。

生理前のつらい症状が起こりやすくなる要因

生理前のつらい症状が起こりやすくなる要因

黄体ホルモンは、セロトニンやドパミン、ノルアドレナリンなど、感情を調整する脳の神経伝達物質にも作用しています。黄体ホルモンの影響を受けやすい性質を持っている場合は、黄体ホルモンの増減によって神経が過敏になり、心の変化が起こりやすくなります。また、これらの神経伝達物質は、ストレスや生活リズムと関係するため、生活習慣が症状の現れ方に影響を与えると考えられます。

月経前症候群の要因①ストレス

環境の大きな変化や、緊張状態が長く続いた後などは、症状が出やすくなることがあります。

月経前症候群の要因②几帳面な性格

几帳面、まじめ、負けず嫌い、自分に厳しい人などは、症状が出やすいとされています。

月経前症状群の要因③食生活

栄養バランスのよくない食事をしている人、コーヒーや紅茶などカフェインを多く含む飲み物やお酒をよく飲む人は、症状が重くなりがちです。

月経前症候群の要因④体力の低下

体力が低下していたり、自律神経が乱れていたりすると、症状が出やすくなることがあります。

生理前の不調があるときは受診を!月経前症候群(PMS)の治療法

月経前症候群(PMS)の治療の柱

月経前症候群(PMS)の治療の柱は、カウンセリング、生活指導、薬です。まずはカウンセリングや生活指導で症状の改善を図ります。なかなか改善しない場合や症状が強い場合には、薬による治療が検討されます。生理前になると心や体の不調が起こり、生活の質が低下している場合は、症状が軽くてもためらわずに婦人科を受診しましょう。適切な治療で症状の改善が期待できます。

月経前症候群の治療法①カウンセリング

まず、月経前症候群について正しく知ることが大切です。そのために、日々の症状を記録します。記録を続けると、自分の症状の重症度や症状が現れるパターンやタイミングが分かるようになり、仕事量を調整したり、家事などの負担を軽減したりできるようになります。

月経前症候群の治療法②生活改善

十分な睡眠、適度な運動、ストレスの軽減など生活の改善も大切です。また、コーヒーや紅茶などカフェインを多く含む飲み物やお酒、たばこなどのし好品を制限すると、症状が改善することもあります。

月経前症候群の治療法③薬による治療

症状に応じて薬を処方される場合もあります。イライラが強い場合は精神安定薬、むくみには利尿薬、頭痛などの痛みには鎮痛薬などです。漢方薬も効果が認められ、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)などが使われます。また、西洋ハーブのひとつであるチェストベリーも効果が認められ、要指導医薬品として購入することができます。

これらの治療で改善しない場合は、低用量経口避妊薬(EP配合剤)によるホルモン療法を行います。ただし、高血圧や肥満のある人、喫煙している人などは、まれに血栓ができやすくなる危険性が高まるので、使用できない場合があります。のみ始めに吐き気や乳房の張り、頭痛などの副作用が現れることがありますが、通常は継続するうちにおさまります。副作用がつらい場合は、自己判断で中止せず医師に相談してください。
うつ症状がある場合は、抗うつ薬を生理前の短期間に限って使うこともあります。重大な副作用は報告されていません。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年4月号に詳しく掲載されています。

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