脳腫瘍のサイン 初期から現れる症状とセルフチェックの方法

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脳腫瘍麻痺(まひ)がある言葉が出ない頭が痛い脳・神経

脳腫瘍の症状

脳腫瘍は多くの場合、サインとなる症状が初期から現れます。良性でも悪性でも違いはなく、同じような症状が出るため、悪性である可能性を考えて、できるだけ早く受診することが大切です。

急速に増殖を増大する「脳のがん」悪性脳腫瘍

サインとなる、初期から現れる脳腫瘍の症状

脳腫瘍の症状

良性でも悪性でも、脳腫瘍が大きくなると、体の片側のまひやしびれなどが起こります。そのため、歩けない、ふらつく、言葉が出にくい、人の話すことが理解しにくい、片目が見づらい、物が二重に見える、などの症状が現れます。

また、頭痛を感じたり、てんかん発作が起きたりすることもあります。ただし、頭痛=脳腫瘍ではありません。脳腫瘍の症状は、頭蓋骨内の圧力が高まることで起こりますが、その圧力は睡眠中にやや高まります。そのため、朝起きた時に頭痛がする場合は、脳腫瘍の症状かもしれません。

これらの症状は脳梗塞脳出血の場合とほぼ同様です。ただし、脳腫瘍では症状の現れ方に特徴があります。脳梗塞や脳出血の場合は、これらの症状が急に激しく起こりますが、脳腫瘍では腫瘍が少しずつ大きくなるため、徐々に症状が現れてきます。ただし、神経膠腫(しんけいこうしゅ)のなかでも最も悪性度の高い膠芽腫(こうがしゅ)では、急激に腫瘍が大きくなり、初めは軽い症状であっても2~3週間ほどで症状が進行することもあります。

脳に異常がないか自分でチェックする方法

脳に異常がないか自分でチェックする方法

自分で簡単にチェックできる方法もあります。片脚立ちをして、ふらついたりしてきちんと立つことができなかったり(両方の脚で交互に行う)、箸やペンがしっかり持てなかったり使えなかったりする場合は、脳の病気を疑ってみてください。

思い当たる症状がある場合は、すぐに脳神経外科や神経内科を受診してください。受診した結果、脳腫瘍ではなくても、脳梗塞や脳出血、認知症などほかの脳の病気が判明する可能性が十分にあります。脳腫瘍自体はまれな病気ですが、「脳の病気を早期発見する」ためにも、気になる症状があれば早めに受診してください。

脳腫瘍の診断

脳腫瘍の診断

脳腫瘍かどうか早く的確に判断してもらうためには、脳神経外科や神経内科を受診することが必要になります。

問診

まず問診を行い、症状の詳しい経過や、ほかのがん、心臓病や高血圧、糖尿病などほかの病気があるかどうかを詳しく聞きとります。

神経学的検査

続いて、神経学的検査を行います。これは、片脚立ちテストや、話し方、視力・視野をチェックする検査で、それによって脳のどこに腫瘍があるかを推定します。

画像検査(CTやMRI)

MRI、縦断面でみたときの脳の画像
画像:国立がん研究センター 脳脊髄腫瘍科 成田善孝

画像検査では、造影剤を使ったCTやMRIにより、腫瘍の位置を確認し、また悪性脳腫瘍かどうかや腫瘍の種類などを推測することができます。

病理検査

そして、診断を確定するのに欠かせないのが腫瘍の組織を詳しく調べる病理検査です。病理検査は、頭蓋骨の一部を外して腫瘍の組織を採取し、原因となる病気や悪性度を診断する方法ですので、手術が必要です。基本的には腫瘍の摘出手術と同時に行います。脳腫瘍には150種類以上のタイプがありますが、この検査によってどのタイプであるのか診断が確定されます。

脳腫瘍の手術は病理医のいる医療機関で受けるのが望ましいでしょう。多くの大学病院やがんセンターでは、手術中に病理検査が行われ、その場で治療方針を決めることができます。

『Q&A悪性脳腫瘍』はこちら

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年4月 号に掲載されています。

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