初期診療で改善しなければ、専門的診療を受ける


食事・生活・排便習慣指導と薬による治療で便失禁が改善しないときは、専門的な診療へ進みます。
まず、肛門内圧・直腸感覚検査などの専門的な検査で、直腸と肛門の機能を測定し、重症度を調べます。肛門内圧検査は、肛門内にセンサーを入れて、肛門の締まる強さを測定します。直腸感覚検査は、直腸内にバルーンを入れて少しずつ膨らませながら直腸の感覚を調べます。
検査結果に応じて、肛門括約筋(こうもんかつやくきん)を鍛える訓練や逆行性洗腸法など、専門的な治療を行っていきます。逆行性洗腸法は、専用の器具を使って、浣腸で腸に便失禁の原因となる便を残らないようにする治療法です。便を出してしまうことで、便失禁の心配なく外出したり、行事に参加したりすることが可能になります。
仙骨神経刺激療法

肛門括約筋の訓練や逆行性洗腸法などを行っても症状が改善しない場合は、仙骨神経刺激療法という新しい治療法が行われます。背骨の一番下にある、仙骨から出ている神経を「仙骨神経」といいますが、この一部は直腸や肛門の感覚や働きに関係しています。そのため、この仙骨神経に電気刺激を送ることにより、肛門括約筋の動きや直腸の知覚などを回復させることができ、便失禁を抑えることが可能になるのです。