
不意に、または無意識に便が漏れてしまうのは、便失禁という病気です。日本では500万人以上の人がこの病気に悩まされていると考えられています。
便は、大腸のぜん動運動によって運ばれます。肛門括約筋(こうもんかつやくきん)という肛門の筋肉が締まっているため、便は漏れません。便により直腸の壁が刺激されると、その刺激が脳に伝わります。すると、脳は便意を感じるため、肛門括約筋を緩めて便を排せつします。その肛門括約筋や直腸、肛門、便を感じる神経などの働きが障害されることで、便が漏れる「便失禁」を招いてしまうのです。
今までは、便失禁に関するガイドラインがありませんでした。ところが、2017年2月に日本初の『便失禁診療ガイドライン』が刊行されたことで、専門医だけでなく、一般内科や産婦人科の医師も診療できるよう、検査や治療法が明確になりました。