良性発作性頭位めまい症の検査

問診では、どのようなめまいが起こるのか、めまいが起こるきっかけは何か、ほかに症状がないかなどを確認します。
【病院で自覚症状を伝えるときのポイント】
- どんなめまい?
・・・ぐるぐる ふわふわ - 初めてなのか?何度も繰り返しているのか?
- きっかけは?
・・・「棚の上のものを取ろうとしたとき」なども重要な情報です。 - ほかの症状はあるか?
・・・・良性発作性頭位めまい症の場合は、耳鳴り・難聴などはないので、このような症状があれば、ほかの病気によるめまいの可能性があります。 - 治療中の病気・使っている薬
・・・高血圧で薬をのんでいる人が、薬で血圧が下がりすぎ、クラッとすることもあります。


良性発作性頭位めまい症かどうかを調べるには、問診や聴力検査など、一般的な耳の検査のほかに、「頭位眼振検査」や「頭位変換眼振検査」が大切です。検査には、目が左右に動く様子がわかるフレンツェルめがねを使用します。どちらも頭を動かし、眼球の動きを調べる検査です。良性発作性頭位めまい症は、頭を動かすことで起こるめまいなので、頭がどこの位置に向いたときに異常が起こるのかを確認します。
良性発作性頭位めまい症の治療


良性発作性頭位めまい症と診断した場合に、一番初めに行う治療が、耳石置換法(頭位治療)です。患者さんの頭や体を動かして、三半規管に入った耳石を耳石器に戻す治療です。耳石の位置は、フレンツェルめがねや、小型のCCDカメラなどを使って、眼球の動きを観察すればわかります。たまっていた耳石が三半規管から出てしまえば、もう発作は起きません。良性発作性頭位めまい症の7〜8割は、この治療でよくなります。この治療は、必ず医師が行うもので、患者さんが自主的に行えるものではありません。
薬は、症状を和らげるために、補助的に使う場合があります。一番よく使うのは「吐き気止め」、そのほか「抗不安薬」「抗めまい薬」などを使うことがあります。
運動療法は、患者さんご自身で行っていただくものです。


- ベッドの中心あたりに、足を下ろして座り、体をゆっくり横に倒して、そのまま60秒数えます。
- 60秒数え終わったら、体をゆっくり起こして元の姿勢に戻ります。
- 次にゆっくり逆側に倒れて横になり、60秒数えます。
- そしてまた、ゆっくり体を起こして元の位置に戻ります。
左右1セットにして3回。これを1日1回、寝る前に行います。
寝る前に行うと、寝がえりや起床時のめまいが起こりにくくなります。最初は、頭の位置を変えるとめまいが起こることがありますが、続けているうちに、徐々に症状が軽くなります。
良性発作性頭位めまい症の予防

良性発作性頭位めまい症を予防するポイントは、耳石を三半規管にためないこと。そのために、日常生活では、次のようなことに注意してください。
●同じ方向で横向きに寝ない
いつも同じ向きで頭を横にして寝ていると、下側の耳の三半規管に耳石がたまりやすくなります。横向きに寝た姿勢でテレビを見続けたりするのは控えましょう。
●寝返り運動を行う
頭をよく動かすと耳石が1か所にたまりにくくなります。そこで、起床後と就寝前に寝床で、次のような「寝返り運動」を行いましょう。まず左向きで10秒間、ゆっくりあおむけになって10秒間、右向きで10秒間、あおむけに戻って10秒間数えます。これを1回とし、10回程度続けます。
●頭の位置を高くして寝る
寝るときに頭を少し高くすると、耳石が三半規管に入りにくくなります。枕を高くしたり、上半身に傾斜をつけたりすれば予防に役立ちます。