詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年5月 号に掲載されています。

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良性発作性頭位めまい症は、めまいを引き起こす代表的な耳の病気です。病名に"頭位"とついていますが、めまいを起こす頭の位置を「めまい頭位」といいます。じっとしているときはめまいが起こらないのですが、頭を動かして、決まった頭の位置でめまいが起こるのが特徴です。ただし、めまいが起こる頭の位置は、人によって異なります。寝返りをしたときや朝起きたとき、目薬を差そうと上を向いたときや料理をしようとして下を向いたときなどに起こることがあります。
症状は、目が回るような回転性の激しいめまいが多く、平衡感覚が失われてよろめくような感じの場合もあります。そのため、回転性のめまいでは吐き気やおう吐を伴うこともあります。ただし、メニエール病のように、耳鳴りや難聴などの症状は起こりません。めまいは長く続くことはなく、数秒から2〜3分程度で治まりますが、めまい発作を何度も繰り返すのが特徴です。
めまいが起こる原因は、良性発作性頭位めまい症の場合、三半規管の中にたまった「耳石」(カルシウムの小さな粒)です。内耳には、三半規管の根元あたりに重力や体の方向を感知する「耳石器」という器官があります。この中には、耳石と呼ばれる石のようなものがあり、それが剥がれて、三半規管に入り込むことで発症します。
上を向いたときなど、頭の位置を変えたときに動くと、耳石が三半規管を満たしている内リンパ液が動き、ゼラチン状のクプラという神経の一部がその動きを感じ取ってめまいが起きます。めまいは、耳石が動いているときだけ起きるので、短時間で治まります。
音を聞く働きをしている蝸牛には障害が起きないので、難聴や耳鳴りといった聴覚のトラブルはありません。
耳石がどうして剥がれてしまうのかは、はっきり分かっていませんが、まず60〜70代の女性に多いという特徴があるため、加齢や女性ホルモンとの関係が考えられています。閉経すると、女性ホルモンの分泌が低下してカルシウムの代謝に影響し、耳石が剥がれやすくなるのではないかと言われています。
中高年になると、めまいの症状がなくても耳石が剥がれて溜まっている可能性があります。耳石は一つ一つは小さな粒ですが、剥がれた耳石の量が増えてひとつの塊になると、めまいなどの症状を引き起こしやすくなります。
そして、耳石はカルシウムの小さな粒であるため、カルシウムの代謝障害によって剥がれやすくなります。そのため骨粗しょう症も良性発作性頭位めまい症の原因となります。
また、スポーツなどで頭を強く打った際に耳石が剥がれることもあります。
ただし、めまいに加えて下記のような症状がある場合は、危険な脳の病気の可能性があります。すぐに救急車を呼びましょう。また、症状が治まった場合でも、必ずその日のうちに脳神経外科または脳神経内科を受診してください。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年5月 号に掲載されています。