微小血管狭心症とは?

枝分かれした先の細い部分が微小冠動脈
微小冠動脈の異常で起こるのが微小血管狭心症
心臓を取り巻く冠動脈の奥深くには、微小冠動脈という細い血管が張り巡らされ、心筋(心臓を動かす筋肉)のすみずみにまで酸素や栄養を供給しています。この微小冠動脈が十分に拡張しなかったり異常に収縮したりすると、冠動脈の太い血管は正常でも、血液は心筋に十分に行き渡らず、胸痛などが起こることがあります。これを微小血管狭心症といいます。微小冠動脈の異常には、女性の場合、女性ホルモンの不足が関係しているとも考えられています。
更年期女性に多い

微小血管狭心症には次のような特徴があります。
- 更年期の女性に多い
- 胸痛が長く20~30分続くことがある
- 運動しているときにも安静にしているときにも起こる
- 心臓の痛みが、みぞおちや肩などの痛みとして感じられることもよくある
原因不明で苦しむ人も
微小血管狭心症はまだよく知られていません。
そのため、胸痛などの狭心症の自覚症状があっても正しく診断されず原因不明のまま長年悩んでいる人もいます。こうした場合には専門の医療機関で詳しい検査を受けることがすすめられます。
どう診断するのか

動脈硬化が原因の狭心症の場合、冠動脈の造影検査を行うと太い血管に狭くなった部分がよく見つかります。しかし微小血管冠動脈ではそうしたことはありません。また、狭心症には冠動脈の太い部分が一時的に異常に収縮して起こるものがあり、冠れん縮性狭心症といいます。
冠れん縮性狭心症の場合、薬剤を使って狭心症を誘発させながら造影検査を行うと太い血管が異常に収縮します。微小血管冠動脈の場合も薬剤で発作を誘発させて造影検査を行います。そのとき、太い血管には収縮が見られないにもかかわらず、心電図の変化などで心筋の血流不足が発見されたり、患者さんに胸痛などが現れたりした場合に、微小血管狭心症と診断します。