詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年4月 号に掲載されています。

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狭心症は胸の痛みを感じる病気で、主な原因として動脈硬化が挙げられます。動脈硬化は、心臓を取り巻く冠動脈の内部にコレステロールなどが溜まり、プラークと呼ばれる膨らみができることですが、動脈硬化が起きると血管が狭くなって血液の流れが悪くなることで狭心症が起きます。
しかし、狭心症の原因はそれだけでなく、心臓の血管が異常に収縮することでも起こります。この血管が異常に収縮して起こる狭心症が「冠れん縮性狭心症」です。また、このほかに、「微小血管狭心症」という狭心症もあります。
心臓を動かす心筋に酸素や栄養を送る血管を冠動脈といいます。冠動脈が一時的に異常に収縮して起こる狭心症を、冠れん縮性狭心症といいます。
狭心症では冠動脈の血管壁にコレステロールなどがたまって血管が狭くなって起こる動脈硬化性がよく知られていますが、冠れん縮性はこれとは異なります。
狭心症の原因を年代別に調べた研究では、狭心症の発症が増える70~80歳代では動脈硬化性が多いのですが、40~50代の若い世代では冠れん縮性狭心症のほうが多くなっています。
冠れん縮性狭心症は怖い病気ですが、その症状が起こるメカニズムは、完全にはわかっていません。ただし、血管の外側にある膜や、その周囲の脂肪に炎症が起こることが原因ではないかと言われています。
冠れん縮性狭心症は夜間から早朝の安静時によく起こります。動脈硬化性の狭心症が運動時に起こりやすいのと対照的です。冠れん縮性狭心症が運動時に起こることもありますが、その場合は午前中に多くなっています。症状が繰り返されることも特徴です。発作が起こった場合に胸痛などが5分程度で悪くなったり良くなったりを繰り返すことが多いのです。
冠れん縮性狭心症の危険因子には、喫煙、心身のストレス、緊張や不安による過呼吸、大量飲酒があります。このうち喫煙は他の狭心症でもあてはまりますが、冠れん縮性狭心症の最大の危険因子です。飲酒の場合、アルコールがさめかけた翌朝に冠れん縮性狭心症がよく起こります。動脈硬化性の狭心症は飲酒の最中に起こることが特徴です。
冠れん縮性狭心症は、冠動脈の平滑筋と呼ばれる筋肉が異常を起こし、収縮して起こる病気です。この平滑筋は収縮を起こすスイッチであるといわれており、Rho(ロー)キナーゼという酵素の活性が高まることによって冠れん縮性狭心症を起こすことが研究で解明されています。そのため、Rhoキナーゼの活性が高まっている患者さんほど重症化しやすく、また突然死にもつながりやすいことがわかっています。
動脈硬化性狭心症では、冠動脈の狭くなった部分をステントと呼ばれる網目状の医療器具で広げる治療(カテーテル治療)が行われることがあります。このとき、血管が再び狭くならないようにステントから薬が溶け出す方式の薬剤溶出性ステントがよく使われます。薬剤溶出性ステントの場合、薬の影響によって、ステントの両端の部分に冠れん縮が起こりやすいことも知られています。
動脈硬化性狭心症の場合、冠動脈の造影検査を行うと動脈硬化で狭くなった部分がよく見つかります。しかし冠れん縮性狭心症の場合、通常の造影検査をしても狭い部分は見つかりません。そこで冠れん縮を誘発させる特定の薬剤を冠動脈に注入しながら造影検査を行います。このとき冠動脈の収縮が見られれば、冠れん縮性狭心症と診断します。
詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年4月 号に掲載されています。