"光"でがんを攻撃する「光免疫療法」最前線

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がん細胞をピンポイントで攻撃する新たな治療法の開発が進んでいます。光を当ててがん細胞を壊す「光免疫療法」です。アメリカでは、手術や放射線療法でがんが治らなかった患者のがんが縮小するという臨床試験の結果が出ています。

「光免疫療法」とは、「光」と「免疫」の2つを使ってがんを攻撃する治療法です。がん細胞の表面には特有のたんぱく質が見つかることがあります。そこで、そのたんぱく質に結合する「抗体」を作ります。次に、この抗体に、ある特殊な物質をくっつけます。その物質は「近赤外線」の光を当てると壊れる性質を持つ物質。こうして作られるのが、「特殊な物質が付いた抗体」ということになります。これを点滴でカラダの中に入れると、抗体は次々にがん細胞の表面にくっつきます。そうしておいて、次に、がんのある部分に向けて、近赤外線を照射します。すると、抗体に付いた物質が壊れ、それに伴い、がん細胞の細胞膜が壊されて死滅します。するとさらに、死滅したがん細胞のかけらを、「免疫細胞」の一種である樹状細胞がキャッチ。すると、T細胞という免疫細胞が、がん細胞を攻撃するようになります。

この光免疫療法を開発したのは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の小林久隆さん。放射線科の医師としてがん患者さんを治療してきた経験をもとに、新たな治療法の研究を進めてきました。

今年中には、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で、頭頸部がんの患者さんを対象に臨床試験が始まる予定です。新たながんの治療法の一つとなるのか、今後の臨床試験の結果に注目です。

この記事は以下の番組から作成しています

  • NHKスペシャル放送
    NHKスペシャル「人体」第7集 “健康長寿”究極の挑戦