薬と手術の選択肢 パーキンソン病に対して行われる治療法

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薬による治療と副作用などの注意点

薬による治療

パーキンソン病では、運動の指令を調節する脳の中のドパミンが減少するので、薬によってドパミンを補うことで運動の症状を改善します。「手のふるえ」などの症状は薬でかなり抑えることができ、発症して2~3年前後は、治ったのではないかと思うほどよくなります。進行後も、薬を適切に組み合わせることで、10~15年、さらにはそれ以上の期間、自立した生活を送ることができます。
以前は、薬を早くから使うと、早く効かなくなる、進行しやすくなるといわれていましたが、最近の研究ではそれが誤りであることが明らかになっています。薬は迷わず使うことが大切です。
中心になる薬は、「レボドパ」と「ドパミンアゴニスト」のという2種類の薬です。
レボドパは、脳の中でドパミンに変化して、ドパミンと同じ働きをする薬で、効き目が強い反面、持続時間が短いため、1日3回程度服用します。また、長く使っているとウェアリングオフ(薬の効果が早く切れて症状が抑えにくくなる現象)や、ジスキネジアという不随意運動が現れることがあります。レボドパが適しているのは、中等度以上や重症の人です。高齢者の場合は、軽度でもレボドパを使うことがあります。
ドパミンアゴニストは、ドパミンに似た物質で、ドパミンの働きを補強します。効き目は弱いものの、持続時間が長いのが特徴です。吐き気、眠気、幻覚などの副作用が起こることがあります。ドパミンアゴニストが適しているのは、軽度の人です。また40歳代以下の場合も、ドパミンアゴニストが多く使われます。

手術(深部刺激療法)による治療

そのほかの治療

ウェアリングオフやジスキネジアが頻発し、薬で抑えるのが難しい場合には「深部脳刺激療法」という手術が検討されます。この手術では、脳の奥の運動の指令の調節に関係する場所に電極を埋め込み、さらに胸の皮膚の下に刺激発生装置を埋め込みます。電極と刺激発生装置を皮膚の下に通したコードでつなぎ、刺激発生装置から弱い電流を流し続けることで、症状を改善します。50~60歳代の人には特に効果が大きく、仕事などの活動の幅が広がります。一方、高齢者では、手術時に脳出血などの危険が高まるので慎重に検討します。

進む新たな治療法の研究

さらに新たな治療法として、現在、iPS細胞を神経細胞に分化させて移植する研究も進められており、数年のうちに臨床研究が始まる予定です。この方法では、脳内でドパミンを作る細胞自体を増やすので、薬を超える効果と、薬の作用を助ける効果が期待されています。