急増する梅毒 原因や感染経路とは?症状・予防・治療法を徹底解説

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急増する梅毒の患者数

梅毒患者 報告数

梅毒は、日本では1990年代以降の患者数は年間1000人を下回っていました。しかし、2013年、梅毒の患者数は1200人を超え、その後、年々増加しています。2015年は2690人、2016年は4575人、さらに2017年は5770人(2018年1月5日現在速報値)で、ここ数年で爆発的に増えています。

若い女性が特に急増している

年代別 報告数(女性)

梅毒の患者数は、男性が多いのですが、最近では女性患者も増えており、特に20代の女性が急増しています。男性の場合、2008年以降に同性間の性的接触による感染が多かった時期もありましたが、2012年以降は異性間の性的接触による感染が増加しています。

女性の場合は、性産業従事者に限らず、一般家庭の主婦などにも感染が広がっています。妊婦から胎児に感染する「先天梅毒」も増加傾向にあります。

梅毒の原因・感染経路・予防法

梅毒トレポネーマ

梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌に感染して起こる性感染症です。性感染症とは、性的接触によって感染する病気のことです。

梅毒の主な感染経路

梅毒の感染経路となる性的接触には、普通の性器の接触による性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスなど、性的な接触すべてが含まれ、粘膜や皮膚から感染します。特殊な状況での感染だけでなく、日常生活の性的行動で誰でも感染する可能性があります。

さらに、妊婦が感染している場合は胎盤を介して母子感染し、胎児にも影響を及ぼします。母体が無治療の場合、40%は流産や死産となり、生まれた場合も、梅毒感染による障害が見られ、これは先天梅毒と呼ばれます。障害の程度は、感染の期間によって異なります。

梅毒の感染を防ぐためには、不特定多数の人との性交渉はしないことや、コンドームを使用することなどが大切です。

梅毒の経過と症状

梅毒の経過と症状

梅毒は、症状が現れたり消えたりを繰り返しながら徐々に全身を侵していく感染症です。症状がいったん消えるため、見逃されやすく、さらに感染を広げてしまう危険性が大きいといえます。

経過は第1期から第4期に分けられます。梅毒は感染してすぐには症状が現れません。感染後、3週間前後で最初の症状が現れてきます。これが第1期で、感染が起きた局所にしこりや潰瘍などが現れます。第1期の症状は、治療をしなくても数週間で消えてしまいます。

感染から3か月ほど経つと新たな症状が現れ、第2期となります。第2期では、全身に赤い発疹が出たり、性器や肛門に扁平(へんぺい)コンジローマと呼ばれる平らなできものが現れます。第2期の症状も、治療をしなくても数週間で再び消えます。

感染から3年ほど経過すると、新たな症状が現れ、第3期となります。第3期では、結節やゴム腫と呼ばれる、ゴムのような柔らかいできものが、皮膚や筋肉、骨などにできます。

さらに進行すると第4期になります。第4期まで進行すると、血管や神経が侵され、動脈りゅう、大動脈炎、進行まひ、脊髄ろうなどの深刻な症状が現れ、日常生活にも支障を来すことがあります。進行まひは、中枢神経系が侵され、記憶力の低下や性格の変化が起こり、進行してまひを起こすもので、脊髄ろうは、脊髄が侵されて痛みや運動失調が起こるものです。

梅毒は見逃されやすい

アトピー性皮膚炎と紛らわしい例
梅毒は見逃されやすい

梅毒は、1990年代から患者数が年間1000人を下回り、「過去の病気」とされることもありました。そのため、若い医師では梅毒を診察したことがない人が多く、発疹などの症状が現れてもすぐに梅毒を疑うのは難しいのが現状です。また、アトピー性皮膚炎など、もともと皮膚の病気がある人では、見分けるのが難しい場合があります。

さらに、オーラルセックスなどで唇や口の中、のどにも梅毒の症状が現れる人もいますが、梅毒の症状が口やのどに現れるということがあまり知られていないため、見逃されやすい状況です。まずは、梅毒を疑って検査をすることが大切です。

梅毒の検査

梅毒の検査

梅毒かもしれないと思ったら、皮膚科、感染症専門の科、泌尿器科、産婦人科などを受診しましょう。自治体によっては、保健所でHIVの検査と一緒に梅毒検査をしているところがあるので、確認してみると良いでしょう。

梅毒の検査は、梅毒の診断には、血液検査で、抗体を検出するための血清診断を行います。梅毒の血清反応には、梅毒トレポネーマの抗原を用いる方法「TP抗原法」と非特異的な脂質抗原(カルジオライピン)を用いる方法「脂質抗原法」の2種類があり、この2つを組み合わせて検査します。TP抗原法は特異抗体なので、梅毒感染の証拠となり確定診断に必要です。脂質抗原法は、治療による変化がわかるため、病気の進行の程度や治療効果の判定に有効です。

どちらの検査も、感染から約4週以上経過しないと陽性反応が出ないため、症状が現れてすぐに検査をしても陰性になる場合があります。その場合は、2週間ほど間をあけて再検査を行います。

梅毒の薬による治療

梅毒の治療

日本での梅毒の治療は、ペニシリン系の抗生物質(抗菌薬)の内服が中心です。早期に、抗生物質(抗菌薬)による適切な治療を行えば完治も可能です。1日3回、決められた量をしっかりのみ、指示された期間のみ続けることが大切です。第1期の患者であれば2~4週間、第2期の患者であれば4~8週間の服用が目安です。薬の効果をみるために何度か通院して検査し、治療がうまくいっているかどうかを確認する必要があります。

梅毒は、治療しなくても症状が消失する特徴があるため、症状が消えたからといって自己判断で薬をのむのを中断したり減らしたりすると、完治せずに病気が進行します。のみ忘れにも注意が必要です。

梅毒のQ&A