賢い患者の心得 がんと言われたら①

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がんと言われた人の心の推移

がん患者の心理の推理

がんと診断された場合、患者さんや家族は、治療だけでなく、気持ちの問題や、どう生活していくかといった現実面での問題と向き合うことになります。はじめに、がんという診断を受けたとき、多くの患者さんはショックを受け、頭が真っ白な状態になってしまいます。この状態は、「衝撃」の段階と呼ばれています。
それから、いったんは、がんであるという現実を「受容」しようと思っても、その後、死んでしまうかもしれないという不安や恐怖から、がんであることを「否認」するというように、受容と否認を繰り返します。そうして、徐々に受容する方向に向かっていきながら、最終的に、前向きに治療に取り組むなど、がんである現実を受け入れ行動を始めるという「適応」の段階に至ります。
2週間ぐらいで適応に至る人が多いのですが、患者さんの性格や周囲の状況によっては数か月かかる人もいます。

心得その一「がん=死ではない」

がん=死ではない

がんと言われると、多くの人は、「この先が不安でしょうがない」「なかなか現実を受け入れられない」という気持ちになります。それは、がん=死という意識があるためと思われます。
ただし、それは昔の話で、医療が進歩した現在では、「がん=死ではない」状況になってきています。現在、日本人の2人に1人が生涯に一度はがんになっていますが、がんになった人の約半分は、がんが死因にはなっていません。つまり、がんが治るか、あるいは経過観察している間に別の病気で亡くなっているのです。
実際に生存期間も延びる傾向にあり、がん全体の5年生存率は、この10年ほどで、約53~54%から約62%に上がっています。早期のがんに限ると、多くのがんで5年生存率が90%を超えています。

心得その二「激しい落ち込みが2週間続いたら専門医」

厚生労働省指定 がん診療病院

「適応」の段階に至ることが難しく、「落ち込んで何もする気がしない」という状態になってしまう人もいます。激しい落ち込みが毎日のようにあり、それが2週間続いたら、うつ病の可能性があります。激しい落ち込みとは、一日中泣いている、食欲がなくて食事がとれない、夜中に頻繁に起きてしまう、自分は生きていてもしかたがないと思う、何もやる気がしない、といった状態です。

うつ病になると免疫の働きが低下することが知られており、がんの経過にも悪い影響を及ぼすと考えられています。がん患者さんで悲観して絶望的になっている人たちと、治療に前向きな人たちを比べてみると、悲観している人たちのほうが生存率が低かったという報告があります。悲観している人たちの中には、うつ病の人たちも含まれていると考えられており、免疫の働きの低下ががんの再発や転移などに影響すると考えられています。そのため、がん患者さんで、うつ病の可能性が考えられる場合は、早期に精神科や心療内科など専門医を受診することが大切です。

どこを受診したらよいか迷う場合は、厚生労働省が指定した、がん診療連携拠点病院や地域がん診療病院に設けられている相談室でたずねることができます。これらの病院の一覧表は、厚生労働省のホームページで見ることができます。

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この記事は以下の番組から作成しています

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    賢い患者の心得「がんと言われたら」

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