【注意】高血圧の基準値は上140mmHg/下 90mmHg以上 脳卒中や腎不全、心筋梗塞を招く危険

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高血圧脳卒中認知症心筋梗塞腎不全動悸(どうき)がする息切れがする・息苦しい循環器・血管

高血圧とは

高血圧の診断基準

高血圧の診断基準

血圧が高い状態を高血圧といいますが、医療機関で高血圧と診断されるのは、上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の場合です。

上・下の血圧どちらかでも基準値を超えていれば高血圧

高血圧と診断される数値の例

上の血圧(基準値:140mmHg)、下の血圧(基準値:90mmHg)のどちらか一方でも基準値を超えていれば高血圧となります。
例えば、

  1. 上の血圧が138mmHg、下の血圧が100mmHg
  2. 上の血圧が149mmHg、下の血圧が103mmHg
  3. 上の血圧が156mmHg、下の血圧が70mmHg

どの場合においても、高血圧と診断されます。

高血圧患者はどのくらいいるのか?

高血圧患者の割合

高血圧は国民病ともいわれており、全国に4300万人もいると推計されています。高血圧は年をとるにつれて患者になる割合が増え、60代の男女でともに6割、70代では男性が約8割、女性が約7割もの人が高血圧と報告されています。

厳しくなった高血圧の降圧目標 診断基準・具体的なケース

上の血圧・下の血圧とは何か

上の血圧は収縮期血圧、下の血圧は拡張期血圧

血液は、心臓が収縮したり拡張したりすることで全身に送り出していますが、このとき血液が血管の壁を押す圧力を血圧といいます。血圧が高くなるのは、心臓がギュッと縮んで勢いよく血液が動脈に流れるときです。これが上の血圧で、収縮期血圧といわれています。一方、血液を送り出したあと心臓が広がって動脈にかかる圧力が低いときが下の血圧で、拡張期血圧ともいわれています。

高血圧の原因

血圧は年齢とともに高くなる?

年齢と共に血圧が上がっていくのは避けられないとお考えの人も多いでしょう。しかし、血圧の上昇が見られない人もいます。

年をとれば血圧は上がる?

上の図のグラフで示すとおり、パプアニューギニアに住む人やシングー族、ヤノマミ族は、普段の生活においてほとんど食塩をとらないため、血圧が低い値であり、年齢が上がっても血圧の上昇がほとんど見られないことが明らかにされています。

高血圧の要因は塩分やアルコール

血圧は年をとれば上がるというわけではなく、塩分などが大きな要因になります。その他、アルコールの過剰摂取、運動不足、肥満なども血管を傷めて高血圧につながると考えられています。

高血圧が引き起こす重大な病気

血管は圧力に対して痛みを感じないようにできているため、血圧が高くても自覚症状はありません。そのため、ある日突然、命に関わる重大な病気を引き起こす場合があるのです。

高血圧は脳卒中の発症率を高める

脳卒中の発症率と血圧の相関

上のグラフのように、たとえば上の血圧が120mmHg未満かつ下の血圧が80mmHg未満の場合に比べて、140または90以上の場合、脳卒中の発症率は約3倍も高くなります。さらに、180または110以上の重度の高血圧になると、約8倍も発症率が高くなってしまいます。

末期腎不全や心筋梗塞にもつながる

血圧が140/90を超えると、脳卒中だけでなく末期腎不全の発症率も上がります。

末期腎不全になる割合と血圧の相関

上の図は末期腎不全になる割合と血圧の相関を表しています。
血圧が120/80未満の人を基準に考えると、男性の場合140/90以上の高血圧の人は8倍、180/110以上と極端に血圧が高い人の場合17倍も発症割合が高くなることがわかります。女性の場合についても、140/90以上の場合2倍、180/110以上と非常に血圧が高い場合には8倍も発症率が高まります。

そのほか、認知症心筋梗塞などの発症率も高血圧によって高まることが世界中のさまざまな研究によって明らかされています。

脳・心臓・腎臓は血管の構造上、高血圧の影響を受けやすい

なぜこれらの病気になりやすくなるのか。それは、脳や心臓、腎臓それぞれに共通する血管の構造に理由があります。

腕の血管構造
脳・心臓・腎臓の血管構造

一般的な体の部位においては、末端の血管になるにつれて徐々に細くなっていきます。例えば、大動脈(直径2.5cm)、上腕動脈(直径5~8mm)、細動脈(直径0.2~0.5mm)、指先の毛細血管(直径0.005mm)と徐々に細くなっていきます。

しかし、脳や心臓、腎臓の血管は、徐々に細くなっていくのではなく、太い血管から急に細い血管になる特徴を持っており、これが血圧の影響を受けやすい一つの要因になっています。
こうした臓器では太い血管にかかっている高い圧力がそのまま細い血管にもかかってしまうため、血圧が上がると小さい血管が壊れて脳卒中や心筋梗塞、腎不全などにつながってしまいます。

進化の過程において、飢餓などの時に重要な臓器の血圧が下がらないようこの血管構造になったと考えられていますが、今は飽食の時代であるため反対に高血圧になりやすくなっていると言えます。

血圧のコントロールが病気予防につながる

生活習慣の改善や薬による治療などで血圧を下げることによって、脳梗塞や心筋梗塞、末期腎不全などの病気の発症率を下げることが可能です。
ただし、血管が傷ついて元に戻らなくなってからでは遅いため、早めに対処することが大切です。日ごろの生活から血圧のコントロールを意識することが健康維持につながると言えます。

血圧が上がる理由・原因とは?食塩や肥満、運動不足、加齢など

この記事は以下の番組から作成しています

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