原因不明の「川崎病」 6つの症状と診断・検査、心臓の合併症を防ぐ治療

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原因不明の「川崎病」、患者数は増え続けている

川崎病の患者の数をあらわすグラフ

乳幼児の約70人に1人の割合で発症し、4歳以下、特に1歳前後の子どもに多い「川崎病」。患者数は年々増え続けており、2018年には1万7364人と、過去最多となりました。川崎病がなぜ起こるのか、どうして増え続けているのか、原因は明らかになっていません。ただし、日本人に多く、夏と冬に集中して発症することから、何らかの感染症的な要因と、遺伝的な要因が関係していると考えられています。発症のきっかけは何らかの「感染」で、免疫が過剰に反応するようになり、それが血管の炎症につながって全身症状が起こるのではないかと考えられているのです。

川崎病の特徴的な6つの症状

川崎病の特徴的な6つの症状

川崎病には特徴的な次の6つの症状があります。

  1. 38℃以上の高熱が続く。
  2. 白目の部分に血管が浮き出るように赤くなる目の充血
  3. 唇・舌の乾燥・充血。とくに「いちご舌」と呼ばれる赤いブツブツが目立つ。
  4. 大きさや形が異なる赤いまだら状の発疹
  5. 手足が赤く腫れ、指先の皮が剥がれむける。
  6. 首のリンパ節の腫れ。耳の後ろから首にかけて腫れ上がり、触ると硬く感じる。

高熱はすべての患者にみられる症状で、目の充血や唇・舌の症状、発疹、手足の症状は約90%の患者に現れます。首のリンパ節の腫れは約70%にみられます。子どもはしばしば発熱することがありますが、川崎病の可能性も考え全身をよく観察して、この6つの特徴的な症状を見逃さないようにしましょう。発疹などの症状は、時間がたつと消えることもあるので、携帯電話に付いているカメラなどで記録することも重要です。

ほかにも、熱が出てから、BCG注射を打ったあとが赤く腫れて、かさぶたができることがあります。これも、川崎病の発見につながる特徴的な症状の1つといえます。

冠動脈瘤(りゅう)を防ぐには、早期治療

川崎病の合併症「冠動脈瘤」
血管の炎症が続くと、冠動脈の血管壁が変化する

川崎病の症状は、適切な治療を受ければほとんどは数日以内に治まります。しかし、血管の炎症が重大な合併症につながることがあります。川崎病で特に注意が必要なのは、心臓に酸素や栄養を届ける冠動脈という血管にできる「冠動脈瘤」という合併症です。血管の炎症が続くと、冠動脈の血管壁が変化します。発症後6~8日で血管壁の内部が腫れて“水ぶくれ”のような状態になり、発症後8日~10日たつと、血管を内側から支えている内弾性板が断裂してしまいます。この内弾性板が断裂してしまうと、冠動脈は血圧に耐えきれずに風船のように広がってしまい、発症後10~12日後には冠動脈瘤ができてしまうのです。

冠動脈瘤があると血液の流れが滞って血栓ができやすくなり、その血栓が冠動脈を塞いでしまうとその先の血流が途絶えて酸素や栄養が届かず、心臓の筋肉が壊死(えし)して心筋梗塞を引き起こすことがあります。
そのため、冠動脈瘤を防ぐためには、川崎病の発症後、遅くとも7日以内に治療を開始することが重要となります。

川崎病の診断と検査

川崎病の診断と検査

6つの症状のうち5つ以上に該当すれば川崎病と診断されます。ただし、5つ以上の症状が出そろうまでには数日かかることが多いので、1回の診察では診断がつかないこともあります。また、川崎病の代表的な6つの症状は、かぜなどの病気でも起こることがあるため、見逃しやすいものです。気になる症状があれば、早めに受診しましょう。

診断では、まず問診と診察で症状を確認し、血液検査で炎症の程度や合併症の有無を調べます。さらに、心エコー(超音波)検査で心臓や冠動脈の状態を調べ、心電図検査で心臓の筋肉に異常があるかどうかを調べます。また、症状が4つ以下でも、川崎病の疑いが強い場合には検査を行い、川崎病と診断することもあります。

冠動脈瘤を調べる「心エコー検査」

冠動脈瘤を調べる「心エコー検査」
冠動脈瘤を調べる「心エコー検査」

心エコー検査では、冠動脈瘤があるかどうかを、心臓に超音波を当てて調べます。健康な人の冠動脈の画像は細い線状になっていて、子どもの場合はだいたい直径2~3mmです。一方、冠動脈瘤のある川崎病患者では、冠動脈の画像がボコボコと部分的に膨らんでしまっています。重症化すればするほど、冠動脈瘤は大きくなり、数も多くなることがわかっています。

冠動脈瘤を防ぐ治療

免疫グロブリンとアスピリンの併用

冠動脈瘤の発症を防ぐためには、発症から7日の間に薬物治療で血管の炎症を抑えることが大切です。治療の基本は、免疫グロブリンとアスピリンの併用です。2つの薬を使うことで、冠動脈瘤の発症を大幅に減らすことができます。
免疫グロブリンは点滴用の血液製剤で、全身の炎症を抑える効果があります。12~24時間かけて点滴で注入するため、5~7日程度の入院治療が必要です。副作用は少なく安全性の高い治療法ですが、まれに点滴中にアレルギーや血圧低下などの副作用が現れることがあります。
アスピリンはのみ薬で、血管の炎症を抑えたり、熱を下げたり、血栓ができるのを防ぐ効果があります。退院後も2~3か月は自宅で服用を続けます。副作用として出血時に血が止まりにくくなることがあります。

免疫グロブリンとアスピリンの併用がよく効いた場合は、数日以内に熱が下がり、ほかの症状も治まります。その結果、冠動脈瘤も予防することができます。一方で、この治療法で効果がみられないケースが15~20%あるといわれています。

改善しない場合の治療

免疫グロブリンとアスピリンの併用で効果がみられない場合や、重症化しそうだと判断された場合には、炎症を抑える効果がより強いステロイドを追加することもあります。副作用としては、ウイルスや細菌に感染しやすくなるなどがあります。

また10日以内に炎症を抑えるため、さまざまな新しい治療法も開発されています。
炎症を起こすTNF-αという物質の働きを抑えて症状を改善する抗TNF-α薬の点滴注射、免疫抑制薬の使用、患者さんの血液をいったん体の外に出して血漿(けっしょう)成分を入れ替え、体内に戻すことで炎症物質を除去する血漿交換などの治療法もあります。

治療後の生活の注意

治療後の生活の注意 川崎病、合併症なく退院したら?

治療によって熱が下がり、冠動脈瘤を防ぐことができた場合も、予防のためにアスピリンの服用を2~3か月間続けます。その後は、半年から1年に1回、小学校に入学するまでは、定期的に心臓の検査を受けます。
日常生活や学校生活、運動などは、普段どおりにすることができます。ただし、再発することもあるので、発熱した際には川崎病の症状に注意してください。

川崎病にかかった人は、冠動脈瘤ができていなくても、大人になってから血管が膨らんだり縮んだりする機能が少し落ちていることがわかっており、動脈硬化が起こりやすいのではないかと疑われています。血管を痛める危険性が高いということを忘れずに、塩分や脂質のとり過ぎに注意して、健康的な食生活を送るように心がけましょう。
保護者の方は、お子さん自身にも、子どものころに川崎病にかかったことがあるということを伝えてください。川崎病にかかったことを忘れないようにするのが大切です。

心臓カテーテル検査

発症から2~3か月たっても冠動脈の直径が6ミリを超えている場合は、冠動脈瘤が疑われるので、カテーテル検査を行います。太ももの付け根からカテーテルを挿入し、造影剤を流して冠動脈の形や瘤の大きさなどを調べます。近年ではMRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピュータ断層撮影)でも冠動脈の状態を調べられますが、冠動脈瘤の治療を行う際にはカテーテル検査が不可欠です。

冠動脈瘤ができた場合の治療

川崎病 冠動脈瘤ができた場合の治療

冠動脈瘤ができてしまった場合には、アスピリンやほかの抗血小板薬を服用し、血栓ができるのを予防します。瘤の大きさが6mm以上の場合には、抗凝固薬を追加して、より強力に血栓を防ぎます。
冠動脈瘤の状態によっては、心臓カテーテル治療やバイパス手術が必要になることもあります。一方、年齢とともに冠動脈の血管壁の内側が厚くなり、瘤がなくなることもあります。いずれも、定期的に検査を受けることが必要です。

川崎病のQ&A

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詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2020年4月号に詳しく掲載されています。

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