扁桃腺(へんとうせん)が腫れる「扁桃炎」とは?
- のどには「扁桃(へんとう)」という組織があります。扁桃は空気と一緒に入ってくる細菌やウイルスを捉えて体の中に侵入することを防ぐ免疫機能を持っています。
- 扁桃に炎症が起きて、40度近い高熱が出る、飲み込みづらいなどの症状が出るのが「急性扁桃炎(きゅうせいへんとうえん)」です。
- 急性扁桃炎は多くの場合、風邪をきっかけにして発症します。
扁桃(へんとう)炎と全身症状
- 急性扁桃炎を繰り返すと「慢性扁桃炎(まんせいへんとうえん)」になる場合があります。
- 慢性扁桃炎は放っておくと、扁桃の炎症が全身に広がって骨に痛みがでたり、手足に炎症がおきたり、腎臓病になることがあります。これを「扁桃病巣感染症(へんとうびょうそうかんせんしょう)」と言います。
手術で扁桃をとる
- 炎症の元になっている扁桃を取る手術で、全身の症状を治すことが出来ます。
- 手術は7日ほどの入院が必要になります。
扁桃炎と口のにおい
- 慢性扁桃炎は常に扁桃が炎症をしている状態です。すると扁桃の表面や奥に膿が溜まります。これを「膿栓(のうせん)」といい、口臭の原因の一つになります。
- においは「なまぐさい」「汚水や下水」と言い表されることがあります。
膿栓(のうせん)をとる
- 膿栓をとる治療は耳鼻咽喉科で行われます。外来で治療できます。
- 耳鼻咽喉科へ行く前に、「膿栓をとる治療」を行っているかどうかを確認しましょう。
- 膿栓由来の口臭は、膿栓をとることで軽くなる場合があります。しかし慢性扁桃炎では膿栓がたまりやすくなっています。慢性扁桃炎の状態を良くすることが重要です。また、喫煙も膿栓がたまる原因にもなります。
- 膿栓は扁桃の表面だけではなく奥にもあり、自分でとろうとすると扁桃を傷つけたり出血の原因にもなるので、耳鼻咽喉科で取ってもらいましょう。
扁桃炎と急性肝炎
- 「EBウイルス」が原因の急性扁桃炎は、急性肝炎を併発します。これは「伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)」という病気です。
- 一般的な急性扁桃炎か伝染性単核球症かは、血液検査でわかります。
- EBウイルスは唾液、体液を媒介して感染します。日本人は幼少期に親や周囲の人から感染することがほとんどです。幼少期に感染しても「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」といって、急性肝炎などの激しい症状がでることはほとんどありません。一度感染すると「抗体」ができます。しかし、抗体がない人が成人してからEBウイルスに感染すると、急性肝炎や急性扁桃炎の症状がでます。