線維筋痛症とは 原因や症状、治療法(全身に激しい痛みを伴う)

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線維筋痛症 全身が痛い 関節痛 体がだるい 全身 関節 筋肉

線維筋痛症とは?

全身を激しい痛みが繰り返し襲う病気です。「ズキズキする痛み」「カッターで切りつけられるような痛み」「針で刺されるような痛み」など、痛みの種類や程度は患者さんによってさまざまです。天候、時間帯、心の状態などによっても変わってくるといいます。

激しい痛みはあるのに、画像検査や血液検査などを行っても、骨、筋肉、関節に異常は見つかりません。そのため、原因不明とされて医療機関を転々とし、その間に心身ともに疲弊してしまうというケースも少なくありません。2011年の調査では、患者数は国内に推計212万人。しかし、実際に線維筋痛症と診断されているのは数万人とも言われ、まだまだ一般には知られていないのが現状です。

さまざまな併発症状

線維筋痛症の症状

2004年の厚生労働省の研究班の調査では、「全身痛」「疲労感」「関節痛」「頭痛」「睡眠障害」「体のこわばり」「しびれ」「不安・抑うつ」「ドライアイ」などの症状も多くの方に見られるとされています。

線維筋痛症の診断

診断の条件は3つあります。

  1. WPI(広範囲疼(とう)痛指数)、SS(症候重症度)という独自指標での評価
  2. 症状が3か月以上続く
  3. 他の疾患ではない(悪性腫瘍、関節リウマチ、シェーグレン症候群など)

WPI(広範囲疼痛指数)とは

WPI(広範囲疼痛指数)とは

体の19カ所のうち、最近1週間に痛んだ場所の数を点数にしたものです(図示)。目安は、日常生活に支障が出るレベルです。「足が痛くて立てない」「腕が痛くて家事ができない」などは点数をつけます。特に、痛みが週の半分以上続いていると要注意です。

SS(症候重症度)とは

SS(症候重症度)とは

痛み以外の症状です。多くの患者さんに見られる「疲労感」「起きた時の不快感」「認知症状」を、重症度によって0~3点の数値で表します。重症度3の目安は「日常生活が送れないほど支障が出るレベル」です。例えば、疲労感の場合、「疲れで起き上がれない」などの状態です。これを最大として0~3の点数をつけます。

SS(症候重症度)のチェック項目

さらに、「筋肉痛」「腹痛」など、表に示す41の症状の中で当てはまるものをチェックします。その数が1~5個なら1点、6~20個なら2点、21~41個なら3点です。先ほどの「疲労感」「起きた時の不快感」「認知症状」の点数と合わせたものがSSの点になります。

点数の基準

WPIとSSの点数の基準

WPIが7点以上で、SSが5点以上またはWPIが3~6点で、SSが9点以上の時、「線維筋痛症」と診断されます。

線維筋痛症かな?と思ったら

日本線維筋痛症学会HP「診療ネットワーク」というリストがあります。線維筋痛症を診療可能な全国の医療機関をまとめたものです。

診療ネットワークHP
※NHKサイトを離れます

また、厚生労働省の承認を受けた「集学的痛みセンター」という痛みを総合的に見てくれる医療機関もあります。このようなところを受診してみて下さい。

もし近くにない場合、近くの総合診療科、近くのリウマチ科、ペインクリニック、整形外科、精神科などに相談してみてください。

線維筋痛症の原因

痛みの原因は骨、筋肉、関節などの末しょう組織ではなく、脳や脊髄などの中枢神経系にあるということが分かっています。

線維筋痛症 痛みの理由

痛み抑制系の異常

私たちの体は、痛みを感じるとその信号が脳まで伝わります。すると、脳からセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質が出て、痛みを抑える仕組みがあります。しかし、線維筋痛症の患者さんでは、この痛みを抑える経路がうまくはたらかないため、痛みが続くのではないかと考えられています。

脳内炎症

脳や脊髄にはミクログリアと言う中枢の免疫担当細胞がいて、免役機能を担っています。線維筋痛症では、そのミクログリアが異常に活性化し、痛みに関係する神経回路の周りで炎症を起こし、痛みを生み出しているのではないかという説があります。

脳内ネットワークの変化

脳内には、作業をしていない時に活動する神経のネットワークがあります。線維筋痛症の患者さんでは、このネットワークと、痛み体験に関わる脳の部位との結びつきが強くなっていることが分かっています。そのため、何か特別なことをしていなくても痛みを感じてしまう可能性があります。

治療とケア

治療には「薬物治療」と「非薬物治療」があります。どちらか一方だけで改善することは難しく、両方のアプローチをすることが有効です。

薬物治療

薬物治療

痛みを抑える『プレガバリン』『デュロキセチン』という薬が線維筋痛症に保険適用となっています。
プレガバリンは、脳内で痛みを伝える神経伝達物質の量を減らします。デュロキセチンは、セロトニンやノルアドレナリンという痛みを抑えるのに大事な神経伝達物質の量を増やします。また、症状に合わせて、抗うつ薬、抗けいれん薬、鎮痛薬なども使われます。

非薬物治療

「有酸素運動」「マッサージ」「太極拳」「ヨガ」「マインドフルネス」「認知行動療法」などのうち、自分に合ったものを生活の中に取り入れていきます。

生活での注意点

重要なのは『不快な時間を減らし、心地よい時間を増やす』ことです。線維筋痛症は中枢神経の病気であり、ストレスを減らすことが痛みの軽減につながります。そのために大事なのが、自分のことをよく知ることです。自分のストレスの原因を知り、うまく付き合っていくことが重要です。

また、周りの人は『傾聴』を意識することが大事です。痛みは外から見て分からないため、患者さんの中には「痛い、疲れたなどと言って怠けないで」「異常がないのだから痛むはずがない」と言われて傷ついてしまう人もいます。しかし、線維筋痛症には周りから想像できないような痛みが確かにあります。患者さんの声をしっかり受け止めることがストレスを減らし、痛みの軽減につながります。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2021年7月号に詳しく掲載されています。

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