漢方を知ろう「皮膚のトラブルがあるとき」

更新日

アトピー性皮膚炎のAさんの例

アトピー性皮膚炎のAさんの例

漢方では、さまざまな病的状態を「」として捉え、生体反応である「陰陽(いんよう)」や体を巡る要素である「気・血・水(き・けつ・すい)」を診ていきます。皮膚のトラブルの場合には、なかでも「血(血液とその働き)」の異常と「水(リンパ液など)」の異常が関わっていることが多いといえます。特に血の巡りの悪い「瘀血(おけつ)」、血の働きが弱い「血虚(けっきょ)」、水の巡りが悪い「水滞(すいたい)」が原因となりやすい特徴があります。

アトピー性皮膚炎のAさんの例

例えば、アトピー性皮膚炎で漢方を希望したAさんの場合は、皮膚症状以外に「イライラしやすい」「暑がり」などがみられ、さらにおへその下辺りにしこりが認められたため「陽証で瘀血」と診断され、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を開始しました。瘀血で陽証の場合の治療には桂枝茯苓丸が最も多く使われますが、ほかにも血を巡らせながら暑い熱を覚ます黄連解毒湯(おうれ んげどくとう)などが使われます。皮膚の乾燥が強い場合には、血虚を治す四物湯(しもつとう)などを併用します。

閉経後 全身に湿疹の出たBさんの例

閉経後 全身に湿疹の出たBさんの例

閉経後に全身に湿疹が出たBさんの例では、だるさや口の渇きのほか冷えが少しありましたが、全体的には「陽証」と診断されて柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を処方され、一度は改善し、その後薬をやめました。ところが、アイスクリームや果物をたくさん食べたことがきっかけで湿疹が再発し、顔もむくみました。以前と同じ薬では効果がなく、再度の診察で冷えや顔のむくみから「水滞」が疑われ、通脈四逆湯(つうみゃくしぎゃくとう)が処方されました。翌日から冷えが治まり、10日後には顔のはれも引きました。

閉経後 全身に湿疹の出たBさんの例

皮膚は体の表面的な部位と捉えられがちですが、臓器の1つです。体を氷山に例えると、皮膚症状は氷山の一角で、水面下には皮膚のトラブルをおこすような体の異常があると考えられます。特に慢性の場合は、自己判断で治療をやめるとしばしば再発します。皮膚の症状が改善したあとも、体をいたわりながら体全体が改善するまで治療を続けることが大切です。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康放送
    漢方を知ろう「皮膚のトラブルがあるとき」