前立腺がんの進行度に合わせた治療法

更新日

限局がんの治療法

進行に応じた治療

前立腺がんは、進行度などに応じて治療法が変わります。

がんが前立腺内にとどまっている限局がんでは、監視療法や手術、放射線療法などが行われます。高齢の患者さんなどでは、ホルモン療法を行うこともあります。

監視療法

監視療法とは、手術や放射線療法をすぐに開始せず、定期的な検査だけで当面経過を観察する治療法です。PSA検査などで早期に発見された前立腺がんで、がんが小さく悪性度が低い場合に行われます。定期的に行う生検などで病勢の悪化が見られてから他の治療を開始します。

前立腺がんの手術

前立腺全摘除術
ロボット支援手術

前立腺がんの手術では、前立腺と精のうをひとかたまりとして摘出し、ぼうこうの出口と尿道をつなぎ直す前立腺全摘除術が一般的に行われています。最近では、より微細な動きができるロボット支援手術が保険適用になっています。 この手術では、腹部に小さな孔を開けて腹腔鏡や手術器具を挿入し、医師が遠隔操作で手術を行います。
限局がんで期待余命が10年以上あると考えられる全身状態がよい患者さんが適応します。

放射線療法

前立腺がんの手術、放射線療法
前立腺がんの手術、放射線療法

放射線療法には、体の外から放射線を照射する外照射と、前立腺内に放射線物質を入れて内側から治療を行う組織内照射があります。
外照射では、IMRT(強度変調放射線治療)と呼ばれる、コンピュータ制御で多方向から強弱をつけた放射線を前立腺の形にあわせて照射する方法が一般的です。正常な細胞への影響を最小限にとどめて副作用を抑えることができ、多くの線量をがんに照射できます。
組織内照射では小線源療法という治療が一般的です。微量の放射性物質を入れた小さなカプセルを前立腺の中に埋め込みます。

局所進行がんの治療法

がんが前立腺を覆う膜を破って外に出てしまう局所進行がんでは、放射線療法または手術と、ホルモン療法を組み合わせて治療します。

放射線療法とホルモン療法の組み合わせ

放射線療法は体の負担が少ないことから、高齢などで手術が受けられない人でも可能な治療法です。前立腺に放射線を照射して、がんを死滅させます。
ホルモン療法は、精巣で合成・分泌されている男性ホルモンの働きを抑える治療です。前立腺がんは、男性ホルモンの刺激で増殖するため、薬や手術で男性ホルモンの分泌や働きを抑制します。薬を使う方法には、男性ホルモンの分泌を抑制する皮下注射や、男性ホルモンの作用を抑制する抗男性ホルモン薬の服用があります。ホルモン療法として、手術で精巣を取り除く場合もあります。

前立腺がんの手術とホルモン療法の組み合わせ

放射線療法の代わりに手術を行い、ホルモン療法を一定期間併用する治療を行うこともあります。

転移がんの治療法

転移がんの治療法

がんがほかの臓器や骨に転移した転移がんでは、ホルモン療法が主に行われます。ほとんどの人で効果が認められますが、2-10年で効かなくなくなることもわかっています。転移がんで、ホルモン療法が効かなくなった前立腺がんを去勢抵抗性がんといいます。ホルモン療法で男性ホルモンが去勢したのと同じ低いレベルに抑えられているにもかかわらず、前立腺がんが進行してしまう状態です。
去勢抵抗性がんに対しては、ドセタキセル、カバジタキセルという抗がん剤が使われます。また、新規ホルモン薬としてエンザルタミド、アビラテロンという薬も認可されました。
さらに骨転移した去勢抵抗性がんに対しては、ラジウム223という骨転移治療薬を使用します。ラジウム223は、骨代謝の活発な場所に集まる習性があり、骨転移のある場所で放射線を放射してがんを抑えます。