インフルエンザ徹底予防!予防接種の効果・自分でできる予防法解説

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インフルエンザウイルスの型

インフルエンザウイルスの型

インフルエンザウイルスは、A型B型C型の3つの型に分けられます。
このうち、冬に流行する季節性のものは、A型とB型です。A型は大変異により数十年に一度大流行(パンデミック)を起こします。C型は、散発的に起こるもので、季節的な流行は起こしません。
ウイルスの表面の「H」と「N」という突起の組み合わせによって、A型は144の亜型に分けられます。B型は2系統に分けられます。

インフルエンザの症状

インフルエンザの症状

典型的なインフルエンザでは、鼻水やのどの痛みなど上気道の症状に加えて、38度以上の高い熱、倦怠(けんたい)感や関節痛などの全身症状が起こります。また、症状が急激に表れるのも特徴です。
しかし、最近のインフルエンザの研究では、「発熱せず、鼻水やのどが痛いだけの軽症例」が多く存在していることがわかってきています。さらに、症状がほとんどない「無症候性感染」の人は、軽症の人よりも多くいるといわれています。

インフルエンザは、高齢者や乳幼児など免疫力が低い人がかかると重症化しやすく、「肺炎」や「インフルエンザ脳症」などの重い合併症が現れることがあります。また、慢性疾患のある人、妊娠中の人、BMI40以上の肥満の人、長期療養施設に入居している人も重症化のリスクが高いので注意が必要です。

インフルエンザ予防!ワクチン接種の効果

インフルエンザワクチンの効果

インフルエンザを予防するうえで重要なのが、インフルエンザワクチンの接種です。ワクチンの効果については、年齢などにもよりますが、発症(症状発現)を約50~60%減少させる、重症化を防ぎ、成人の入院を約70%減少させるといった報告があります。

予防接種時のインフルエンザワクチン

インフルエンザワクチン

以前のインフルエンザワクチンは、A型2種とB型1種を合わせた3種ウイルス混合でした。しかし2015年から、B型が1種追加されて4種ウイルス混合になり、発症予防、重症化予防ともに効果が高くなると期待されています。
このインフルエンザのワクチンは毎年つくりかえられます。世界中の国々で流行したインフルエンザウイルスの株から、次のシーズンにどんな株が流行するかが予測され、夏ごろまでにワクチンがつくられます。

ワクチン接種後、約2週間してからウイルスと闘う「抗体」ができ、最も効果が高くなるのは、予防接種をしてから1か月~2か月後です。計画的に予防接種を受けましょう。
子どもの場合は、基礎免疫が低いため2回の接種が推奨されています。1回目と2回目は、約4週間あけて接種するとよいでしょう。

インフルエンザの感染ルート

インフルエンザの感染ルート 飛沫感染
インフルエンザの感染ルート 接触感染

インフルエンザの主な感染ルートは、せきやくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染と、ウイルスのついた手で口や鼻に触れることで感染する接触感染の2つと考えられてきました。せきで約90万個、くしゃみで約200万個の飛沫が発生するといわれており、5分間の会話でもせきと同程度の飛沫が発生するとされています。

インフルエンザの感染ルート「エアロゾル感染」

近年、新たな第3のルートが注目を集めています。それは「エアロゾル感染」と呼ばれるものです。「エアロゾル」とは、空気中に微粒子が安定して長く漂っている状態のことで、雲、タバコの煙、寒い時期の白い息のような状態です。空気中にインフルエンザウイルスを含んだ微粒子が安定して漂い、それを吸い込むことで感染するのではないかと考えられています。

自分でできるインフルエンザの予防

インフルエンザの予防

正しい手洗いを身につけよう

インフルエンザを予防するために大切なのが「手洗い」です。手についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法です。「正しい手の洗い方」で予防効果を高めることができます。外出して戻ったときは、流水と石けんでしっかりと手洗いしましょう。

【動画】正しい手の洗い方(約1分)

マスク着用も効果的

予防には「マスクの着用」も効果的です。一般的な不織布のマスクは、インフルエンザ感染の原因となる微粒子を一定程度カットします。人混みに出るときや、自分がせきが出る場合のせきエチケットとしてのマスクの着用を心がけましょう。

湿度・温度・生活習慣で予防する

「室内の湿度・温度を適切に保つ」ことも予防につながります。インフルエンザウイルスが伝播しにくくなるよう、湿度は50~70%程度、温度は20~25℃程度を保ちましょう。
さらに、抵抗力を下げないために、「規則正しい生活」を送りましょう。適度な運動を行い、睡眠はしっかりと。また、バランスの良い食事をとることも大切です。

インフルエンザの治療

抗インフルエンザウイルス薬

症状が強くてインフルエンザかもしれないと思ったら、医療機関を受診しましょう。合併症を起こすリスクの高い人は早めの受診が勧められます。インフルエンザと診断された場合には、2日以内に抗インフルエンザ薬を使うと、発熱を1日減らす効果と重症化を予防する効果があります。

現在、抗インフルエンザウイルス薬の中心はノイラミニダーゼ阻害薬です。ウイルスを細胞内に閉じ込めて他の細胞への広がりを防ぐ働きをする治療薬です。
成人では1日2回、5日間服用するオセルタミビル(タミフル、オセルタミビル)、1日2回、5日間吸入するザナミビル(リレンザ)、1回の吸入で済むラニナミビル(イナビル)が中心です。9歳以下の子どもではオセルタミビルのシロップを使います。ペラミビル(ラピアクタ)は内服も吸入も難しい人にも使用できる点滴薬です。

さらに2018年からエンドヌクレアーゼ阻害薬という新しい薬が承認され、治療薬の選択肢が増えました。ウイルスが増殖する際に必要な酵素を阻害することで、増殖そのものを抑える治療薬です。エンドヌクレアーゼ阻害薬には、バロキサビル(ゾフルーザ)という内服薬があります。

オセルタミビルは5日間の服用が必要ですが、バロキサビルは1回だけの服用で済み、のみ忘れの心配が少ない利点があります。一方で、バロキサビルは耐性ウイルスが出現する割合が高いという報告もあり、日本感染症学会は2019年10月に「12歳以上と成人は、データが不足しているため、薬を推奨するかしないか現時点では決められない」「12歳未満の子どもは慎重に投与を検討する」「免疫不全患者や重症患者には積極的な投与をすすめない」という提言を出しています。

なお子どもでは、抗インフルエンザ薬を使用する・しないにかかわらず、インフルエンザそのものの影響により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとするなどの異常行動を起こす恐れがあるため、少なくとも発症から2日間、異常行動を起こさないか、注意して見守ることが大切です。