脳にある内頚動脈が狭くなることで起こる もやもや病とは

更新日

脳梗塞や脳出血の恐れがある もやもや病

もやもや病とは
もやもや病とは

もやもや病は1950年代に日本で見つかり、その後、もやもや病と命名されました。脳の中の網の目状になった異常な血管が、たばこの煙のように「もやもや」と見えたことから名付けられたと言われています。

脳には、内頸動脈という太い脳血管があります。内頸動脈の終末部が閉塞し、閉塞した場所より先の血流が悪くなると、不足した血液を補おうと周りにある毛細血管が発達し、本来はなかった血管網を作ります。その血管網が画像検査で煙のように"もやもや"と見えるわけです。もやもや病は、若い人でも脳梗塞や脳出血になることがあります。

もやもや病の症状

もやもや病の特徴的な症状には、失神、頭痛、体に力が入らなくなる脱力発作、体の片側の手足のまひ、自分の意思と関係なく体が動く不随意運動、けいれん、失語症、記憶力の低下などがあります。また、脳出血を起こす場合もあります。
これらの症状は、脳の血流が低下する「楽器を吹く動作」や、ラーメンやうどんなど熱い食べものを「フーフーと吹きさます動作」などによって起こる場合が多いようです。

もやもや病の2タイプ「虚血型」と「出血型」

もやもや病 タイプ別発症年齢

もやもや病には、異常な血管網が詰まって血流が不足する虚血型と、血管網に負担がかかって破れることで発症する出血型の2タイプがあります。

もやもや病診断・治療ガイドラインでは、1,127例のもやもや病の患者をタイプごとに分類した結果が報告されています。その結果、子どもはほとんどが虚血型として発症し、成人では半数が虚血型、半数が出血型として発症します。

もやもや病は、子どもに多い病気です。大人になると発症が減るのは、新生血管が完成して、ある程度脳の状態が安定するためです。また、もやもや病はアジア系の人々に多くみられます。その他、男性よりも女性のほうがかかりやすいという報告もあります。(男:女=1:1.8~2.0)

最近の研究によって、もやもや病の発症には遺伝子が関係しているということが考えられていますが、原因ははっきりしていません。

もやもや病の検査

もやもや病を発見するには、MRI(MRA)、脳血管造影検査、脳血流検査などの検査が必要です。

MRI・MRA検査

MRI・MRA検査
MRI・MRA検査

MRI検査では、脳梗塞や脳出血の有無を調べることができます。MRIの種類のひとつMRA(磁気共鳴血管造影)は、脳の血管の状態をチェックできます。患者さんへの負担はほとんどありません。

脳血管造影検査

脳血管造影検査

脚のつけ根の動脈から脳の結果にカテーテルを送り込み、造影剤を注入してX線で撮影します。脳の血管の狭さくや閉塞、異常な血管網の状態を詳しく調べることができます。この検査は入院して行います。検査結果によって、もやもや病の治療方針が定まります。

脳血流検査

脳血流検査

脳のどの部分の血流が、どの程度低下しているかわかります。出血型の場合も、脳では血流不足が起こっていることは多いため、この検査が必要になります。

もやもや病の治療

もやもや病と診断された場合は、脳梗塞や脳出血を防ぐことが重要になります。そのために薬や手術で脳の血流を改善する治療が行われます。

薬による治療は、血流をよくする抗血小板薬が使われます。けいれんがある場合は抗けいれん薬が使われ、必要に応じて頭痛薬や降圧薬なども使われます。手術は、不足する脳の血流を補うために血液の通り道をつくる血行再建術が行われます。血行再建術には、直接バイパス術と間接バイパス術があります。

直接バイパス術

直接バイパス術

開頭して、頭部の皮ふの下の動脈を脳の表面の中大脳動脈に直接つなぎ合わせます。
一時的に血流を遮断して細い糸で血管をつなぎ合わせ、血流を再開させると、手術直後から脳の血流が増加していきます。時間とともにつなぎ合わせた血管が太くなるため、さらに血流が増加します。

間接バイパス術

間接バイパス術

間接バイパス術は、血流が豊富な組織である、皮下の血管や筋肉を脳の表面に接着させて、そこから新しい血管の発達を促す手術です。術後1か月から数か月かけて、脳に対して根を生やすように徐々に血管を発達させていきます。

間接バイパス術は、子どもの場合はうまく血管が生えますが、大人では不十分なこともあります。そのため、成人の場合、直接バイパス術がすすめられます。