家族性高コレステロール血症が疑われるのは次の3つの場合です。
2つ以上に思い当たる場合は、糖尿病・内分泌代謝内科や循環器内科などの専門の医療機関を受診することがすすめられます。病気を早く見つけて早く治療すれば、狭心症や心筋梗塞をかなり食い止めることができます。
(1)未治療時のLDLコレステロール値が180mg/dL以上
特に、若いのに値が高い場合や、薬をのんでもなかなか値が下がらない場合は、家族性高コレステロール血症が疑われます。
(2)2親等以内の家族に家族性高コレステロール血症の人または若年で狭心症や心筋梗塞を発症した人がいる
男性は55歳未満、女性は65歳未満の場合を指します。
(3)黄色腫と呼ばれるコレステロールのかたまりが体にできている
黄色腫は、特にアキレス腱に起きやすく、両脚とも太くなります。患者さんの8割に現れるという調査結果もある一方、若い人には現れないことも多くあるようです。
薬を使った治療法
家族性高コレステロール血症と診断されたら、LDLコレステロール値100未満を目標に治療します。治療は、薬が積極的に使われます。まず、コレステロールの合成を抑えるスタチンが使われます。ただ、スタチンだけでは治療効果が不十分な場合が多く、その場合にはコレステロールの吸収を抑えるエゼチミブ、LDLの酸化や黄色腫を抑えるプロブコール、胆汁酸の吸収を抑えるレジンなどを併用します。
2016年に登場した薬が、PCSK9阻害薬(エボロクマブ)です。2~4週間に1回注射する薬で、スタチンと併用して使用します。日本人には特に効果があり、スタチンとの併用で、スタチン単独の場合に比べ、LDLコレステロール値が平均7割近くも下がることがわかっています。まれですがホモ型という重症のタイプの場合は、血液からLDLを除去する治療も行います。最近では、ロミタピドという新薬がホモ型にも効果があると注目が集まっています。
薬による治療だけでなく、生活の改善も大切です。食べ過ぎや運動不足、肥満などが重なると、さらにLDLコレステロール値が上がってしまうので、動物性脂肪やコレステロールを制限しましょう。また、喫煙は動脈硬化を進行させるので禁止します。