子どもの発達障害 「注意欠如・多動症(ADHD)」とは?症状など徹底解説

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注意欠如・多動症(ADHD)とは

「自分の感情をコントロールする」「物事に集中する」「他人の表情から感情を理解する」などがうまくできないのが発達障害です。これは生まれつきの行動や思考の特性であり、個性や性格に近いものです。

発達障害には、人とのコミュニケーションが困難な自閉スペクトラム症(ASD)、注意が持続できなかったり衝動性が高い注意欠如・多動症(ADHD)、読み書きや計算などが極端に苦手な限局性学習症(LD)の3つのタイプがありますが、複数のタイプを併せ持っている場合もあります。

注意欠如・多動症
周囲欠如・多動症

ほかの子と比べて落ち着きのなさが極めて目立つのが注意欠如・多動症(ADHD)です。注意欠如の特徴としては、「授業中、注意を持続することができない」「忘れ物が多い」「片づけが苦手」などがあります。多動・衝動性の特徴としては、「授業中、席を離れて歩き回る」「順番を待つことができない」「しゃべりすぎる」などがあります。

注意欠如・多動症(ADHD)の診断基準

注意の欠如や多動性、衝動性の症状が、「それぞれ9項目のうち6項目以上当てはまる」、「6か月以上持続している」「学業に悪影響を及ぼしているかどうか」が、主な基準です。
注意欠如の症状
他動性・衝動性の症状

【注意欠如の症状】

  • 勉強中に不注意な間違いをする
  • 活動中に注意を持続することが困難
  • 話を聞いていないように見える
  • 指示に従えず勉強をやり遂げられない
  • 課題を順序立てることが困難
  • 精神的努力が必要な課題を嫌う
  • 必要なものをよくなくす ・外的な刺激によってすぐ気が散る
  • 日々の活動で忘れっぽい

【多動性・衝動性の症状】

  • 手足をそわそわ動かす
  • 席についていられない
  • 不適切な状況で走り回る
  • 静かに遊べない
  • じっとしていない
  • しゃべりすぎる
  • 質問が終わる前に答え始める
  • 順番を待つことが困難
  • 他人を妨害し、邪魔する

注意欠如・多動症(ADHD)の子どもの困難

ADHDの子どもの困難

ADHDの子どもは、忘れ物が多かったり、ルールが守れず、友達とトラブルになるなどの問題が起こってきます。多くの子は、家や学校でしかられ続けるために、自尊心が低下することが多くなってきます。

自尊心の低下や失敗体験が積み重なると「うつや不安障害といった二次障害」を合併しやすくなります。重い二次障害を起こしてしまうと、なかなか元の生活に戻るのが難しいということがあります。ですから早く気づいて対処し、二次障害を防ぐことが大切です。

睡眠と注意欠如・多動症(ADHD)

睡眠とADHD

ADHDの子には、睡眠障害が起こる可能性が非常に高いことが、様々な研究で指摘されています。

睡眠と覚醒のリズムに障害が起きて、「寝つきが悪い」、「夜泣きがひどい」、「ぐっすり眠れない」、「眠り過ぎる」といった症状がでることがあります。逆に、よい睡眠がとれるように生活リズムを整えることが症状の軽減につながるといわれています。

注意欠如・多動症(ADHD)の子どもへのサポートのポイント

サポートの例

注意欠如・多動症の子どもが抱える問題は、家族や学校の先生だけで解決しようとするのではなく、小児神経科などの専門医や、地域の保健センター、児童相談所などに相談しましょう。そして、親や医師、先生などがチームを組んで対応します。

注意欠如・多動症の対応では、「薬による行動改善」「環境改善」「行動療法」を3つの柱とし、その子に合ったサポートを行っていきます。特に、行動療法では「望ましい行動をほめて増やしていく」ようにします。例えば「動き回る」という行動には、「座ったときにほめる」「じっとしていた時間の長さをほめる」「授業や活動の中で動いても良い時間を作る」「授業前に校庭などで体を動かす」といった対応があります。不適切な行動はできるだけ見逃すようにして、できたことをほめ、成功体験を積み重ねていくことが大切です。

注意欠如・多動症(ADHD)の行動療法の実践例

いずもサマースクール

島根県立大学(出雲キャンパス)では、毎年夏休みに、ADHDの子どもたちが行動療法を実践する「いずもサマースクール」という5日間のプログラムを開いています。このプログラムの最大の特徴は「ポイントシステム」です。子どもが、好ましい行動をするとポイントがプラスされ、好ましくない行動をするとマイナスになります。友達や先生を助けたなど、好ましい行動があった場合は、ポイントがプラスになる理由を伝えつつ、みんなで拍手してほめます。

一方、誰かの発表中におしゃべりしていたなど、好ましくない行動があった場合は、怒ることはせず、減点される理由を、淡々と、本人にわかるように伝えます。このプログラムに参加した子どもは、たくさんほめられることで自信をもち、好ましい行動が増えるという効果が全員にみられています。

注意欠如・多動症(ADHD)の薬による治療

ADHDの薬による治療

ADHDの治療薬として3種類の薬が認可されています(2018年11月現在)。メチルフェニデート徐放錠(コンサータ)は、脳内のドパミンという神経伝達物質の働きを調整する働きがあります。アトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン徐放錠(インチュニブ)は、ノルアドレナリンという神経伝達物質の働きを調整する薬です。

薬に関しては、これまでにたくさんの調査研究があり、ADHDの症状が軽減することがわかっています。また、不安障害などの二次障害を減らすことができるといわれています。

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詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2018年11月号に詳しく掲載されています。

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