夜尿症の治療

一般におねしょとは、幼児が夜間睡眠中に排尿してしまうことをいいます。5歳未満の子どもでは、発育過程の自然な現象なので問題になりません。しかし、5~6歳を過ぎても1か月間に数回以上おねしょをする場合には、夜尿症という病気として捉えられます。夜尿症にはほかの病気が隠れている場合もありますし、本人や親が困っているのであれば、医療機関を受診することが勧められます。治療を行えば、2年間で約80%の患者さんが治ることがわかっています。
夜尿症には、国際的に標準化された治療方法があります。まず、治療の基本となるのが生活改善です。「早寝早起き」「夕食は寝る2~3時間前に済ませる」「水分は朝昼たっぷりとり、夕方から就寝までは控える」「塩分・糖分・果物をとりすぎない」といった点に注意して生活改善を行えば、1~2割の患者さんが治ると考えられています。生活改善を徹底しても効果が見られない場合には、生活改善を続けながら、医師と相談して、薬か夜尿アラームのどちらかを選択します。薬は、夜間に尿が多く作られるのを抑える抗利尿ホルモン薬を使います。夜尿アラームとは、漏れた尿を感知して音と振動を発する機器です。アラームによって排尿を無意識に止めることにより、大量の尿漏れが防げるとともに、膀胱[ぼうこう]が徐々に大きくなることも期待できます。多くの場合、約4~6週間で効果が見られ、再発も少なく、薬と同じくらいの効果が認められます。