大腸がんの薬物治療と効果・副作用について(抗がん剤、分子標的治療薬など)

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進歩を続ける薬物治療

大腸がんの抗がん剤はめざましく進歩していて、新しい治療法も次々と登場しています。近年では、特定の遺伝子を持つがん細胞を狙い撃ちしてがんの進行を抑える「分子標的薬」の開発が進み、生存期間が延びています。このように薬物療法(化学療法)の治療の選択が幅広くなったことから、2016年に大腸がん治療ガイドラインが改訂されました。さらに最近では、「免疫チェックポイント阻害薬」が登場し、2019年に改訂されたガイドラインに盛り込まれています。

抗がん剤
抗がん剤

「抗がん剤」は、細胞の分裂・増殖を障害することで、がんを小さくしたり、なくしたりするものです。しかし、抗がん剤は、正常な細胞も攻撃してしまうので、副作用が多く出てしまいました。
そこで登場したのが「分子標的薬」。がん細胞の増殖に目標を定めるため、従来の抗がん剤よりも副作用が少ないのが特徴です。

2つの目的がある抗がん剤治療

抗がん剤治療の目的

抗がん剤による治療は、2つの目的で行われます。
1つは手術後の再発予防として。たとえ手術で目に見えるがんを取り除いても、細胞レベルのがんが残っている可能性があります。そういった目には見えないがんを攻撃して再発を防ぎます。

もう1つは、がんの縮小と進行抑制です。手術だけでは取り切れない進行したがんや再発したがんに対して使われます。

治療効果が高まりつつある薬物療法(抗がん剤・分子標的治療薬)

進行・再発大腸がんにおける抗がん剤治療

抗がん剤には、注射で行うものとのみ薬で行うものがあります。2つの効果には差がなく、のみ薬の登場によって治療はしやすくなっています。再発予防のための抗がん剤治療における投与期間は、6か月が原則ですが、最近では患者それぞれに適した対応ができるような試験が進められています。
進行したがんや再発したがんでは、基本的に抗がん剤を投与し続けます。最近は、分子標的薬の選択肢が増えたことで、より個別化治療が可能になり、治療効果も高まっています。

抗がん剤・分子標的治療薬の副作用

薬の主な副作用

抗がん剤による副作用の程度や症状は、抗がん剤の種類によって異なり、個人差もあります。副作用のなかでも自覚症状として現れやすいのが、吐き気や脱毛。口内炎・手のしびれ、味覚障害なども起こる可能性があります。また、検査をすれば、白血球の減少や肝機能障害などがわかります。

分子標的薬による副作用には、手足の皮膚障害や血圧上昇など、従来の抗がん剤とは異なる副作用が起こります。しかし、現在では副作用を予防する薬も開発されているため、副作用が起こったときのケアも確立されています。ただし、検査結果やそのときの状況によっては薬を切り替えたり量を減らしたりしたほうがよい場合もあるので、副作用が辛いときは主治医にしっかり伝えることが大切です。

新しいがんの薬「免疫チェックポイント阻害薬」

免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬

抗がん剤や分子標的薬とは異なる、さらに新しいがんの薬として注目されているのが「免疫チェックポイント阻害薬」です。私たちの体にある免疫細胞には、誤って自分の体が傷つかないようにするためのブレーキボタンがあります。がん細胞が、このブレーキボタンを押してしまうと、免疫細胞はがん細胞を攻撃できなくなり、がんが大きく成長してしまいます。「免疫チェックポイント阻害薬」は、がん細胞がブレーキボタンを押すのを防いでくれるのです。免疫細胞は、本来の攻撃力を取り戻し、がん細胞を攻撃できるようになるのです。

「免疫チェックポイント阻害薬」が使われるのは

遺伝子検査

2019年に新しくなった大腸がん治療ガイドラインでも、適応のある患者さんには「強く推奨される」治療です。このように効果が期待される薬ですが、承認されて間もないため、慎重に使用されています。

まず、遺伝子検査を行い、従来の抗がん剤と分子標的薬の組み合わせを行います。こうした抗がん剤と分子標的薬の治療で効果がない場合、免疫チェックポイント阻害薬 抗PD-1抗体薬を検討します。ステージ4の大腸がん患者さんの約3-4%にこの抗PD-1抗体薬が効くとされています。

大腸がんのQ&A