慢性腎臓病と運動効果

慢性腎臓病には適度な運動がすすめられます。以前は安静にすべきだと考えられていましたが、その後、安静の必要がないことや運動の効果が実証され、常識が覆りました。
慢性腎臓病に対する運動の効果とは、第一に、体力がつき、歩行速度や筋力が増して、疲れにくく、生活が活発にできるようになることです。第二に、脳卒中、心筋梗塞、心不全などを予防できるために、生命予後が延長することです。第三に、腎臓の働きが改善することです。腎臓の働きがよくなってくれば、透析療法を始める時期を先延ばしにできるようになることもわかっています。
グラフは、慢性腎臓病が少し進行した人たちを対象に運動療法の効果を調べた結果です。運動をまったくしなかったグループ(赤色の線)は腎臓の働きが次第に低下していきました。一方、1回40分・週3回の有酸素運動などを行ったグループ(黄色の線)は、開始した時期から腎臓の働きが保たれ、さらに改善もしています。
透析患者にも運動は有効

透析治療をしている人にも運動がすすめられます。寿命が延びる、透析効率が良くなるなどの効果が認められています。心臓の働き、運動能力、疲れやすさ、睡眠、不安・うつ、生活の質の改善も期待できます。
運動する場合の注意点

ただし、次の人は運動は原則禁止です。
- 心不全や狭心症などの心臓病で症状が安定しない
- 収縮期血圧 180mmHg以上
- 空腹時血糖値 250mg/dL以上
- 極端な肥満
また、次のような人は運動に注意が必要です。
- 足腰を痛めている
- 腎機能の低下が著しい
- 足にむくみがある
詳しくは医師に相談して行いましょう。