突発性難聴の治療
薬による治療

突発性難聴は前触れも、また明らかな原因もなく、突然耳が聞こえなくなる病気です。突発性難聴の特効薬はありませんが、なるべく早く薬による治療を始めることが大切です。血流障害やウイルスが原因と考えられていることから、まずはステロイドによる治療を行います。
ステロイド治療は、血流障害によって起こる細胞のむくみや炎症を抑える効果があります。
また、補足的に血管拡張薬、抗凝固薬、代謝改善薬、ビタミンB12を服用することもあります。
(糖尿病や胃潰瘍の方にはステロイドの全身投与ではなく、耳から直接内耳にステロイドを注入する「鼓室内注入療法」がおこなわれることがあります。)
治療の開始が遅れると効果に影響する可能性があるため、早めに治療を開始してください。
薬以外の治療法
薬で改善しない場合は、次のような高圧酸素療法、星状神経節ブロックという内耳の血行をよくする治療を行うことがあります。最近では人工内耳による治療の有効性も報告されています。
- 高圧酸素療法
医療用の酸素カプセルなどに入り、高濃度の酸素を吸入して血流をよくする治療法です。 - 星状神経節ブロック
注射やレーザーで、交感神経の中継点である首の星状神経節に働きかけ、内耳の血流を改善する作用があります。
その他に、聞こえが改善されなかった場合は、両耳に装着するクロス補聴器を使用することもあります。クロス補聴器は、聞こえない側から入った音を補聴器がキャッチし、聞こえる側につけた補聴器に音声を転送して音を聞き取るものです。
突発性難聴に間違われやすい病気

突発性難聴は、同じ耳には再発しないとされています。もし、症状が一度は改善したのに、突然聞こえなくなる症状を繰り返すようであれば、他の病気が疑われます。
間違われやすい主な病気は、「メニエール病」、「外リンパろう」、「急性低音障害型感音難聴」などです。めまいや耳鳴りなどの症状は突発性難聴と似ていますが、それぞれ治療法が異なるので、正しい診断と適切な治療を受けることが大切です。
メニエール病
難聴や耳鳴り、めまいの発作を繰り返します。
外リンパろう
鼻をかむ、飛行機への搭乗、ダイビングなど急激な圧の変動によって難聴や耳鳴り、めまいが起こります。
急性低音障害型感音難聴
難聴・耳閉感・耳鳴りや低音が聞こえにくいなどの症状が特徴で、20代女性に増加しています。ストレスが関係していると考えられています。