股関節の痛み 変形性股関節症の原因と症状とは?発育不良も関係

更新日

変形性股関節症変形性関節症足・脚が痛い関節痛お尻が痛い足・脚関節

股関節とは何か?どんな病気が潜んでいるのか

股関節とは

股関節とは

股関節というのは脚の付け根にある関節で、体重を支えるという重要な役割を持っています。歩いたり、しゃがんだり、座ったりできるのも、この股関節があるからです。

股関節にかかる負担

この股関節には片足で立つと体重の3〜4倍、歩いているときには10倍もの重さがかかるといわれています。日常生活にとても重要な役割を持っている股関節ですが、何らかの異常が起きて痛みを感じることがあります。
その痛みを引き起こす代表的な病気として、変形性股関節症があります。

変形性股関節症とは

変形性股関節症とは

足の付け根にある股関節に痛みを起こす病気を持つ人は全国で400〜500万人いると言われています。そのうちの大半が変形性股関節症と考えられています。
特に女性に多く40?50歳代になると発症し、強い症状が出る人が多く、専門医を受診したときにはかなり病気が進行しているというケースも見受けられます。
股関節は他の関節と違い、深い所にあり、筋肉や靭帯(じんたい)に囲まれています。そのため、そもそも症状を自覚しにくく、進行してから気づくことも少なくありません。

変形性股関節症の症状

変形性股関節症の症状

症状として最も多いのは、足の付け根の痛みや違和感です。その他に、おしりや太もも、ひざの痛みとして出てくることもあり、そのため股関節の病気だと気づかない人が多くいます。また、左右に揺れて歩くというのもこの病気のサイン。歩いているときに人に指摘されて気づく人もいます。

日常の動作で気付くことも

日常の動作のちょっとした違和感から変形性股関節症に気づくこともあります。「水たまりを跳ぼうとしたら跳べずにはまってしまった」「和式のトイレにしゃがめなくなった」「靴下がはきにくくなった」「足の爪が切りにくくなった」「あぐらがかきにくくなった」などです。これらは脚が硬くこわばって可動域(脚が動く範囲)が狭くなるために起こります。痛みを伴わなければ病院に行こうとまでは思わないかもしれません。しかしこうしたサインを見逃さず受診すれば、変形性股関節症を早期に発見しやすくなります。

変形性股関節症の痛みの原因

股関節周辺の構造

股関節周辺の構造

股関節は骨盤と大腿骨(だいたいこつ)のつなぎ目の関節で、大腿骨の先端を臼蓋(きゅうがい)が包み込む構造をしています。
それぞれの骨の関節部分には軟骨があり、この軟骨はクッションとしての役割と関節の滑りをよくするという役割があります。軟骨があることで関節がうまく動いて、歩いたりしゃがんだりすることができます。

軟骨がすり減ることで痛みを引き起こす

軟骨がすり減る原因

変形性股関節症による痛みは、大腿骨と臼蓋の軟骨がすり減って、炎症を起こしたり骨が変形したりすることで引き起こされます。
軟骨がすり減る原因には、肥満や重労働などが挙げられます。そのほか、スポーツなどによる外傷も要因になります。
しかしながら原因として最も多いのが、子供の頃から股関節に何らかの異常を持っているというケースです。

赤ちゃんのときに股関節が発育不良

変形性股関節症になる人の8割前後は、乳幼児期に股関節の発育が良くなかった人です。

股関節の発育不良

正常の股関節に比べ、骨盤のカップ状になった寛骨臼(臼蓋)が浅くて小さいため、ボール状の大腿骨頭が十分に覆われていません。そのため骨と骨が接する面積が小さく、負荷が集中して軟骨がすり減りやすくなってしまうのです。

股関節が発育不良だった人は、変形性股関節症のリスクを考えて早めの受診がすすめられます。自覚症状のないごく初期の段階でも診断できます。ただし、本人は乳幼児期のことを聞いていない場合も多いので、覚えがなくても「自分は大丈夫」とは思わないでください。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2023年4月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321 まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    股関節の痛み 対処法「痛みの原因は?」
  • きょうの健康 放送
    春だ!股関節は大丈夫?「見逃さないで!意外なサイン」