前立腺肥大症とは
前立腺肥大症は、前立腺が肥大して排尿障害が起こる病気です。50歳以上の男性に多く発症します。
前立腺は男性に特有の臓器で、膀胱(ぼうこう)のすぐ下で尿道を取り囲むように位置しており、精液の一部をつくる働きをしているほか、排尿にも関わっています。

正常の前立腺の大きさは、くるみ大ですが、肥大した前立腺の大きさは鶏卵ほどの大きさになり、さまざまな排尿症状が出ます。
前立腺肥大症の3つの症状
前立腺肥大症の症状は、蓄尿症状、排尿症状、排尿後症状と大きく3つに分けられます。

蓄尿症状は、膀胱が尿をためる時に起こる症状で、頻尿(トイレが近い)、尿意ががまんできない尿意切迫感があります。
排尿症状では、前立腺が大きくなり、膀胱を圧迫し尿が出にくい状況になり、いきまないと尿が十分に出ない、尿が途中で途切れる、尿の勢いが弱いなどの症状があります。排尿後症状には、尿のキレが悪い、排尿後の残尿感があります。
前立腺肥大症の症状チェック
前立腺肥大症かどうかを調べるには、国際前立腺症状スコアというものを使用します。

上記は簡易的に作成したものです。これらの項目が2回に1回当てはまる場合はチェックしてください。
- 排尿後に残尿感がある
- 排尿後に2時間以内に再びトイレに行く
- 排尿中に尿がとぎれる
- 尿を我慢するのが難しい
- 尿の勢いが弱い
- 排尿のためにおなかに力を入れる必要がある
- 寝てから朝までに排尿で何度も目が覚める
症状がつらかったり、日常生活に支障がある場合には、医療機関で受診することをおすすめします。
前立腺肥大症の検査

医療機関では、まず、問診が行われ、現れている症状とその程度から重症度を判定します。検査には、直腸越しに医師が前立腺に触れてチェックする直腸診や超音波検査、排尿時の尿の流れを測定する尿流量検査、排尿後の残尿量を調べる残尿測定、尿の沈殿物を調べる尿沈渣(ちんさ)、前立腺がんの有無を調べるPSA検査などが行われます。
超音波検査
超音波検査では、腹部に超音波を当てて前立腺の大きさを調べます。

尿流量測定
尿流量検査では、単位時間当たりの排尿量と排尿時間を測定し、排尿状態を調べます。
健常者は1秒間に20cc以上の尿が出て、排尿時間は15秒ほどです。しかし、前立腺肥大症の方の場合、10ccを超えない尿を1分近くかけて排尿します。

前立腺肥大症の治療
薬による治療

治療では、まず薬物療法が行われます。排尿症状がある場合には、前立腺の緊張を緩めて尿を通りやすくするα1遮断薬や、男性ホルモンの影響を抑える5α還元酵素阻害薬が使われます。

蓄尿症状には、膀胱の緊張を和らげる抗コリン薬や、膀胱を弛緩(しかん)させるβ3作動薬などが使われます。
手術による治療
薬物療法で効果がないときは手術を検討します。いずれも尿道から内視鏡を入れて行う治療で、「TURP(経尿道的前立腺切除術)」と、「TUEB(経尿道的前立腺核出切除術)」「PVP(光選択的前立腺レーザー蒸散術)」といった方法があります。

「TURP(経尿道的前立腺切除術)」は、内視鏡の先にある電気メスで、前立腺を削りとる手術です。

「TUEB(経尿道的前立腺核出切除術)」は、切除鏡の先にある電気メスで、前立腺をくりぬく手術です。手術時の前立腺の出血量を減らして、切除する方法です。