睡眠時に呼吸が止まる「中枢性睡眠時無呼吸」とは 心不全との関係性

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中枢性睡眠時無呼吸とは

中枢性睡眠時無呼吸は、呼吸を調整している脳の呼吸中枢が働かなくなることで起こる病気です。

閉塞性睡眠時無呼吸との違い

閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸の比較
中枢性睡眠時無呼吸にはいびきなどのわかりやすいサインがない

閉塞性睡眠時無呼吸は、寝ているときに気道を舌の根元などが塞いでしまって無呼吸になります。それに対し、中枢性睡眠時無呼吸の原因は脳にあります。呼吸の命令は脳が送っていますが、その呼吸の命令を寝ている間に脳が止めてしまいます。閉塞性睡眠時無呼吸にあるような“いびき”などのわかりやすいサインが中枢性睡眠時無呼吸にはないため、どんどん悪化してしまうケースもあります。

中枢性睡眠時無呼吸のメカニズム

睡眠中の呼吸の仕組み
睡眠中に無呼吸になる原因

本来、睡眠中の呼吸は、脳にある呼吸中枢にコントロールされ、自動的に胸やおなかが動いて呼吸を維持しています。この呼吸中枢は、心臓から血液に乗って運ばれる二酸化炭素などに反応して、呼吸の命令を出すという仕組みになっています。ところが、心臓に異常が起こり、血液の循環が悪くなると、二酸化炭素を十分に送れなくなり、呼吸中枢がうまく反応できなくなってしまうことがあります。また、脳に異常が起こり、呼吸中枢が働かなくなるため呼吸ができなくなることもあります。

中枢性睡眠時無呼吸の原因となる病気

中枢性睡眠時無呼吸のリスクとなる病気

中枢性睡眠時無呼吸の原因のひとつは、心臓の働きが低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる心不全です。心不全の約3割の患者さんに中枢性睡眠時無呼吸があるとの報告があります。放置すると不整脈や心筋梗塞を引き起こして突然死につながることもあります。ほかにも、脳卒中になって脳に後遺症がある人や腎不全のある人などに中枢性睡眠時無呼吸が起こるケースもあります。

中枢性睡眠時無呼吸のサインと検査

中枢性睡眠時無呼吸のサイン

中枢性睡眠時無呼吸のサイン

中枢性睡眠時無呼吸に気づくサインは2つあります。1つ目は、寝た直後から30分以内での比較的早期に無呼吸が起こりやすいこと。2つ目は「チェーンストークス呼吸」と呼ばれる特殊な呼吸パターンがみられることです。この2つのサインによって中枢性睡眠時無呼吸を発見することができます。

チェーンストークス呼吸とは

「チェーンストークス呼吸」とは、小さな呼吸から始まってだんだん大きくなり、そしてまた次第に小さくなっていって最後は無呼吸を起こすといった一連の周期を繰り返す呼吸の状態をいいます。

チェーンストークス呼吸を発見するポイント

チェーンストークス呼吸とは

中枢性睡眠時無呼吸で起こるチェーンストークス呼吸を発見するポイントを紹介します。
典型的な中枢性睡眠時無呼吸ではいびきはありません。無呼吸になる前に、まず呼吸音がだんだんと小さくなっていきます。その小さい呼吸がしばらく続くと、今度は呼吸が徐々に大きくなっていきます。この時、胸やおなかも大きく動くのが確認できます。その後、呼吸は再び徐々に小さくなっていき、最後には止まってしまいます。個人差がありますが、チェーンストークス呼吸は始まりから無呼吸になるまで、およそ1分間から2分間程度継続します。

チェーンストークス呼吸の原因

二酸化炭素を運ぶ血液の流れが悪化すると、呼吸中枢そのものに異常をきたして呼吸中枢が呼吸量を調整できなくなり、チェーンストークス呼吸を引き起こすといわれています。脳や心臓に異常がある人はこうした呼吸をしていないか家族で確認することをお勧めします。また、気がついたらすぐに検査を受けることが大切です。

中枢性睡眠時無呼吸の検査

中枢性睡眠時無呼吸の検査

睡眠時無呼吸を診断するための検査は、まず自宅で行います。医療機関から貸し出されるパルスオキシメーターを手に装着して、眠っている間の酸素飽和度と脈拍を測定します。このパルスオキシメーターの検査で、呼吸が10秒間以上止まる無呼吸や、酸素飽和度が平常時よりも3~4%以上低下する低呼吸が1時間あたり5回以上ある場合、睡眠時無呼吸があると診断されます。そして、さらに詳しく調べるために入院して検査を行います。
入院して受ける検査は「終夜睡眠ポリグラフ検査」といい、この検査によって無呼吸のタイプが閉塞性睡眠時無呼吸なのか中枢性睡眠時無呼吸なのかを見極めることができます。

終夜睡眠ポリグラフ検査でわかること

終夜睡眠ポリグラフ

上の図は中枢性睡眠時無呼吸の実際の患者さんの終夜睡眠ポリグラフを表しています。脳波、眼球運動、筋電図から睡眠の深さを調べ、呼吸の強さ、口の気流、胸やお腹の動きから呼吸情報を得ます。また、心電図をとることによって心臓や血管の状態をみます。これらの情報から無呼吸の状態やチェーンストークス呼吸などの異常を検知します。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    これで解消! あなたの睡眠不足「中枢性睡眠時無呼吸」