寛解を目指せる「関節リウマチ」の最新薬物療法と5つの手術方法

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関節リウマチの薬物療法の進化

関節リウマチの薬物療法の進化

関節リウマチの薬物療法は、以前は痛み止めやステロイドで一時的に症状を和らげることしかできませんでした。しかし、新しい薬の登場で、ここ十数年間で大きく進歩し、多くの関節リウマチ患者が病気の進行を抑え、発症前とほとんど変わらない生活を送ることのできる「寛解」を目指せるようになっています。

東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターによる関節リウマチの大規模患者調査、IORRA調査によると、2000年の時点で寛解を達成していた患者は、わずか8%でした。しかし、2016年になると52%の患者が寛解を達成しています。この劇的な治療成績向上の背景にあるのが、1999年に日本でも発売開始となった抗リウマチ薬のメトトレキサートと2003年から続々と登場している生物学的製剤です。

8割の患者が使用する抗リウマチ薬

関節リウマチの治療の中心を担うのは、抗リウマチ薬の「メトトレキサート」です。世界的に関節リウマチの第一選択薬となっていて、日本でも約8割の患者さんが服用しています。
メトトレキサートは、関節の炎症を引き起こす免疫細胞などの働きを抑え、関節リウマチの進行を抑えます。

免疫の働きを抑えるため、風邪やインフルエンザ、肺炎など感染症には注意が必要です。また、服用後に気分が悪くなったり、口内炎や肝障害の副作用がみられたりする場合もありますので、体調の変化を感じたら医師に相談しましょう。

新たな薬「生物学的製剤」

新たな薬「生物学的製剤」

関節リウマチの新たな特効薬として注目されているのが生物学的製剤と呼ばれる薬です。生物学的製剤は、最新のバイオテクノロジーを駆使して作られた薬で、炎症を引き起こすサイトカインという物質などを標的に作用します。
点滴か皮下注射(自己注射含む)で投与されます。生物学的製剤の投与中は免疫の働きが低下しますので、感染症には十分注意しましょう。

生物学的製剤は高い効果を発揮しますが、一方で高額な薬です。IORRA調査によると、患者が1年間に医療機関の窓口で支払う直接医療費(診察代・薬代・検査代・入院代など)は、生物学的製剤を使用していない場合では約25万円でしたが、生物学的製剤を使用している場合は、約70万円と、大きな差がみられました。

経済的負担は大きいのですが、必要な薬剤を使用せず病気が進行してしまい、介護が必要な状態になってしまうと、別の負担が発生する可能性もあります。病気の状態がよくなれば、生物学的製剤の量を減らしたり、投与間隔を空けたりできる場合もありますので、主治医とよく相談して検討してください。

最新の薬物療法

最新の薬物療法

関節リウマチの治療薬で最も新しいのが「トファシチニブ」というのみ薬です。トファシチニブは「分子標的治療薬」といって、炎症を引き起こす特定の分子に狙いを定めて作用します。生物学的製剤と同等の高い効果を発揮します。トファシチニブの服用が検討されるのは、ほかの抗リウマチ薬や生物学的製剤を使っても効果が不十分な場合です。また、免疫の働きを低下させますので、やはり感染症などの副作用には十分な注意が必要です。

関節リウマチの手術を検討するタイミング

関節リウマチ 手術のタイミング

関節リウマチの手術の目的は、関節の痛みや腫れをやわらげること、破壊されて変形した関節の機能を回復させることです。患者さんの症状や生活スタイル、希望で手術を検討することになります。最近は、抗リウマチ薬の進歩により関節リウマチで股関節や膝関節などの大きい関節の手術件数は減ってきていますが、手の指や手関節(手首)、足の指や足関節(足首)など小関節の破壊は完全に抑えることが難しく、手術をする頻度は比較的高いです。

部位や状態によって異なる5つの手術方法

関節リウマチの手術は、関節の部位や状態によって手術方法が異なります。現在、大きく分けて、人工関節置換術、関節固定術、関節形成術、腱(けん)の形成術、滑膜切除術の5つの手術方法があります。

最も多く行われている人工関節置換術

最も多く行われている人工関節置換術

関節リウマチの手術で最も多く行われているのが、変形した関節を人工関節に置き換える、人工関節置換術です。人工関節置換術は、肩、ひじ、手の指、手関節(手首)、股関節、膝など、動きが制限されると日常生活に支障を来す関節に対して行われます。手関節の人工関節置換術は、2017年に健康保険が適用されるようになりました。

人工関節は、かつては耐用年数が10年ほどとされていたため、できるだけ交換しなくても済むように、手術は高齢になってから行うことが多かったのですが、現在は素材が進歩し、手術から15年経過しても約95%の患者さんは問題なく使用できていると報告されています。さらに、内科的な治療で用いられている抗リウマチ薬の進歩により、骨が強化されて人工関節をしっかり固定できるようになったことも、耐用年数を延ばしているとされています。そのため、最近では、関節が変形した場合は20代や30代でも手術を行うことがあります。

さらに、人工関節置換術では、ナビゲーションシステムが普及しています。骨を切る最適な角度は患者さんによって異なり、骨を切る角度が1度でも異なると、長期的にみると人工関節が緩みやすくなってしまうことがあります。ナビゲーションシステムを使用することで、より精度の高い手術が可能になり、人工関節の耐用年数も延ばせると考えられています。

骨同士をつなぐ関節固定術

骨同士をつなぐ関節固定術

関節を固定しても生活に支障を来さない足関節(足首)などでは、変形した骨の一部を切除して、関節の骨同士をつないで固定する「関節固定術」を行うことがあります。金属製のスクリューなどで骨をしっかり固定するため、関節が安定して痛みもなくなります。足関節は、固定してもほかの関節が動きを補うため、歩行に大きな影響はありません。

関節の一部を切除して動きをよくする関節形成術

関節の一部を切除して動きをよくする関節形成術

変形した関節の骨の一部を切除して動きをよくするのが「関節形成術」です。主に、ひじ、手関節(手首)、足の指の関節などで行われます。

例えば、手関節に変形が起こった場合は、顔を洗う動作や物を受け取る動作が難しくなるため、日常生活に支障を来しますが、骨の一部を切除して骨どうしを固定することで、動作がスムーズに行えるようになります。外反母趾(がいはんぼし)や槌指(つちゆび:第一関節が曲がったままの状態)など、足の指の変形では、骨の一部を削って指を真っすぐに整えて矯正し、歩きやすくします。

炎症で切れた腱を修復する腱の形成術

炎症で切れた腱を修復する腱の形成術

関節リウマチの炎症で、手の指を伸ばすための腱(けん)が切れることがあります。その切れた腱を再建するのが「腱の形成術」です。腱を再建する方法はいくつかありますが、よく行われているのは、手首の手のひら側にある太い2本の腱のうちの一本を手の指に移行する方法です。手術後は、再び指を伸ばすことができるようになります。

炎症の原因になっている滑膜を切除する滑膜切除術

炎症の原因になっている滑膜を切除する滑膜切除術

関節リウマチは滑膜の炎症が原因で起こります。増殖した滑膜を、内視鏡を使って切除するのが「滑膜切除術」です。比較的早期で関節の軟骨が残っている場合に行われます。滑膜切除術は痛みをとることが目的になりますが、再発する場合もあります。
最近は、抗リウマチ薬で滑膜の炎症が抑えられるようになってきたため、滑膜切除術は減ってきています。

手術後も治療は継続

手術後も治療は継続

手術で痛みが軽減されて関節の動きが良くなっても、関節リウマチ自体が治ったわけではありません。関節リウマチの患者さんは、炎症によって骨がもろくなっていることが多いので、転倒すると骨折しやすくなっています。適度な運動を行って、筋力を維持することは大切ですが、ジョギングやジャンプをするような関節に負担がかかる運動は控えることが大切です。

また、薬の治療は手術後も継続する必要があります。薬で関節の炎症を抑えること、骨がもろくなっている場合は、骨粗しょう症の治療も併せて行うことが大切です。

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この記事は以下の番組から作成しています

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