大動脈瘤の治療法はどのようにして決めるのか
大動脈瘤の治療法を決めるのに重要なのは、大動脈瘤が破裂する危険度です。破裂の危険性が低い場合、薬物療法を行いながら経過を観察しますが、危険性が高い場合は手術を検討します。
大動脈瘤が破裂する危険度は、瘤の形や大きさによって判断されます。瘤の形は、紡錘(ぼうすい)状動脈瘤と嚢(のう)状動脈瘤の2つのタイプに分けられます。

紡錘上動脈瘤の場合
紡錘状動脈瘤は、大動脈の一部の血管壁が全体的に膨らむものです。血管の直径が50mm未満であれば、破裂が起きる危険は年間で数%にとどまります。この場合は、薬物療法を行いながら経過を観察します。
嚢状動脈瘤の場合
嚢状動脈瘤は、血管壁の一部だけが袋状に膨らみます。瘤が小さくても破裂しやすいことがわかっています。検査結果などから破裂する危険度が低いとされる場合もあります。
大動脈瘤に用いられる薬物療法とその目的
大動脈瘤の薬物療法の主な目的は、血圧とコレステロール値を下げて動脈瘤が拡大・破裂する危険性を下げることです。また、合併しやすい脳卒中や心筋梗塞を予防することもできます。

血圧を下げる薬には、交感神経に作用して心臓の過剰な動きを抑えるβ遮断薬、血管を収縮させるホルモンを抑えるACE阻害薬・ARBがよく使われます。またコレステロールの値を下げるためスタチンを併用することがあります。
薬物療法で大動脈瘤そのものを小さくすることはできないので、定期的にCT検査を受けて、瘤の状況をチェックします。