女性の糖尿病 意外な落とし穴

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女性もかかる!?糖尿病

糖尿病は中高年男性の病気だと思っている人も少なくありませんが、女性も安心できません。糖尿病が強く疑われる人の割合は男性全体で19.7%、女性は10.8%。特に、70歳以上になると10人に2人が糖尿病を強く疑われるという結果になっています。


世代別・糖尿病を強く疑われる女性の割合

妊娠中・出産後に要注意!

女性のライフステージの中で注意が必要なのが妊娠中です。妊娠中に糖尿病と診断されるケースには、それまで見逃されていた糖尿病が妊娠中に発見されるという場合と、妊娠中に糖の代謝が変化して糖尿病を発症するという場合があります。しかしそれとは別に、妊婦の中の12%に糖代謝の軽い異常が起こります。これが妊娠糖尿病です。血糖値の上昇は軽度のものなので母体に大きな影響はありませんが、胎児の発育を過剰に促進し、出産時のリスクとなることがあります。そのため、妊娠糖尿病と診断された人は、血糖値をきちんとコントロールすることが正常な分娩のために大切です。妊娠糖尿病になりやすいのは、肥満、糖尿病の家族がいる人、高齢出産の人です。最近では高齢出産が増えているため、妊娠糖尿病も増加傾向にあります。

妊娠糖尿病は妊娠時に限られた症状で、出産後、多くの場合、血糖値は正常に戻ります。しかし注意が必要なのは、妊娠糖尿病になった人は、その後一定期間をおいて糖尿病になるリスクが5割ほど高くなるということです。妊娠糖尿病になった女性は、その後の糖尿病発症を予防するために、食べ過ぎ・偏食を避け、適度な運動をするとともに、健康診断で血糖値をチェックすることも習慣にしましょう。

更年期以降に注意

女性は40代以降になると、糖尿病を抑制する女性ホルモン・エストロゲンが低下してくるので、糖尿病のリスクが高まります。さらに閉経後は、実際に糖尿病を発症する人が増えていきます。糖尿病のサインを示すのが次のチェックリストです。


女性の糖尿病チェックリスト

ただし、この項目のすべてが糖尿病に特徴的な症状とは言えず、更年期障害の症状とも重なっています。自分自身で判断するのは難しいので、このような症状が気になる場合は、放置せず、医療機関を受診しましょう。血糖値を検査することによって、糖尿病かどうかがはっきりわかります。

「やせたい!」に潜むリスク

日本人女性は、国際的にみても、経済的に豊かなわりに「やせ過ぎ体型」の人が多いことが知られています。この「やせ過ぎ体型」の女性と標準体重の女性について、「耐糖能異常」の人の割合を調べた調査があります。「耐糖能異常」とは、糖尿病の人ほどではありませんが、食後に血糖が上がりやすい性質で、将来の糖尿病の大きなリスクと考えられています。その結果、標準体重では「耐糖能異常」の人が1.8%なのに対し、「やせ過ぎ体型」の人では13.3%と7倍もの割合になることがわかりました。


耐糖能異常の人の割合

13.3%というのは、肥満女性の「耐糖能異常」の割合とほぼ同じなので、かなり心配なデータです。現代のやせ型女性には、食事によるエネルギーの補給量が少なく、また運動量も少ないために、あまりエネルギーを消費しない「エネルギー低回転タイプ」が多く含まれています。これは、以前のやせ型とは違うタイプで、実際に糖尿病に移行するというという確実なデータはまだありませんが、糖尿病のリスクが心配されます。
このようなやせ型女性が増えている背景には、自分の理想的なボディーバランスのイメージに歪みがあるということが考えられます。そしてこれは、女性だけでなく、男性も含めた社会全体の問題でもあると言えます。

女性は糖尿病になると男性以上に脳梗塞のリスクが上がると言われています。女性には、糖尿病と診断されることに抵抗がある人もいるかも知れませんが、適切な治療を行えば合併症などを防ぐことは可能なので、心配な場合は、ぜひ受診をすることをお勧めします。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2024年1月 号に掲載されています。

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