動脈硬化の2つのタイプ:アテローム動脈硬化と石灰化 危険性が高い人とは

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動脈硬化には2つのタイプがある

動脈硬化の2つのタイプ

動脈硬化には、大きくわけて2つのタイプがあります。
1つは内側に厚くなって中が狭くなるタイプです。もう1つは、血管が非常に硬くなるタイプです。

血管が狭くなる「アテローム動脈硬化」とは

アテローム動脈硬化が起きている血管

狭くなるタイプは、血管の内膜に悪玉といわれるLDLコレステロールが溜まることで血液の通り道が狭くなるアテローム動脈硬化と呼ばれるものです。

動脈硬化が軽度の大動脈と重度の大動脈を解剖した画像

上記の画像は解剖で提供いただいた、人の大動脈を切ったものです。上は表面が滑らかで動脈硬化が軽度である動脈です。反対に下は表面が凸凹して盛り上がっており、動脈硬化が非常に強い動脈になります。このように動脈が狭くなり、動脈硬化がおきるのですが、その原因は悪玉といわれるLDLコレステロールが関係しています。

血液中のLDLコレステロールが多くなり過ぎると、LDLコレステロールは血管の内皮細胞の下に入り込んでたまります。白血球の一種がこれを食べていき、たくさんため込むと炎症物質を出しながらその場で死んでしまい、この死んだ白血球の塊が増えると、血管の内膜が押し上げられて血管が狭くなってしまうのです。

アテローム動脈硬化の自覚症状とは

アテローム動脈硬化の自覚症状は血液が十分に流れている状態であれば、ほとんどありません。しかし、必要な血液が流れない状態になってくると、動いた時に胸が苦しくなる狭心症や、歩いた時に脚がだるくなったり太ももが痛くなる閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患、足梗塞)の症状が現れることがあります。

動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞が起こる可能性がある

動脈硬化が進行した内膜は傷がつきやすい状態です。そのため、血栓ができやすくなり、場合によっては血管を詰まらせてしまうことがあります。さらに、首の頚動脈にできた血栓が剥がれ、その血栓が流れて脳の血管を詰まらせてしまうこともあります。

このように、動脈硬化が進行すると命に関わる「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの命に関わる病気につながります。

血管が硬くなる「石灰化」とは

大動脈全体で石灰化が起きているCT画像

血管が硬くなるタイプは、血管の中膜の部分にカルシウムが沈着して血管が硬くなる石灰化と呼ばれる動脈硬化です。石灰化は、高血圧などにより中膜の平滑筋や繊維にカルシウムが沈着して硬くなることで起こります。血管の石灰化が進行すると、血管が伸び縮みしにくくなってしなやかさがなくなり、血流によるダメージを受けやすくなります。石灰化はアテローム動脈硬化が起きていない場所にも起こります。

動脈硬化を起こしやすい人の特徴

2つのタイプがある動脈硬化とは

動脈硬化の危険性が高いのは、上記の画像にある、脂質異常症、内臓脂肪型肥満、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、睡眠時無呼吸症候群などの方と考えられています。

脂質異常症との関係

脂質の中でも、特に悪玉コレステロールのLDLコレステロールが非常に高くなってくると、内膜に動脈硬化が進みます。

糖尿病との関係

糖尿病では内膜だけでなく、中膜にもいろいろ影響を及ぼします。カルシウムが沈着して石灰化を起こすなど、動脈硬化を進行させる因子になっています。
特に糖尿病で腎臓が悪くなって、腎臓病を併発すると進行スピードが早くなります。

喫煙との関係

喫煙による血圧の変化

喫煙は肺だけでなく、血管にも悪影響があります。たばこを吸うと、たばこの中に含まれる成分が交感神経を刺激し、血圧が上がってしまいます。
また、たばこの中に含まれる活性酸素が内膜を障害して、動脈硬化を進行させてしまうこともあります。そのため場合によっては、心筋梗塞などの病気を起こしてしまう可能性があります。

骨粗しょう症との関係

最近になって、骨粗しょう症によって骨のカルシウムが減り、骨密度が低くなると、逆に血管のカルシウムが増えて動脈硬化が進行すると言われています。

睡眠時無呼吸症候群との関係

睡眠時無呼吸症候群の方は、寝ているときにしばしば呼吸が止まります。すると、全身の酸素が下がっていきます。この低酸素によって動脈硬化が進行してしまいます。そのため、睡眠時無呼吸症候群は隠れた動脈硬化の危険因子と言われています。

血管の老化を評価する方法

2つのタイプがある動脈硬化とは

上記の表は、日本動脈硬化学会が発表している調査データの一部を抜粋したもので、60歳から74歳の方で、糖尿病や腎臓病のない方が、今後10年間に心筋梗塞などで死亡するリスクをみるものです。
喫煙の有無、総コレステロールの数値、収縮期血圧の数値を当てはめていくと危険度がわかります。死亡率が高くなるということは、心筋梗塞の発症率も高くなります。一般に発症率は死亡率の3倍と考えられています。

動脈硬化を予防するポイント

適量のお酒を飲む

動脈硬化の予防につながるお酒の適量

お酒を飲むことは動脈硬化を防ぐうえでよいと言われています。ただし、適量を超えて飲み過ぎてしまうと、身体に悪影響を及ぼしてしまうので、注意が必要です。

可能性がある場合は検査を受ける

動脈硬化は様々な原因で全身に起こります。症状が進行して重度になると、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こす可能性があります。動脈硬化の可能性がある方は検査を受けて動脈硬化の程度を調べ、悪化しないように気をつけていくことが大切です。

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