前触れなく突然襲った頭の痛み!
2021年1月20日の深夜、自宅で映画を見ようとしたときに「ズキーン」という頭痛に襲われた田中さん。これまでも頭痛が起きることはありましたが、その夜の痛みは、経験したことのないものでした。
田中
「頭痛薬をのんではみたんですが、この痛みは頭痛薬で治る感じではないな、と思いました。それで、寝ている妻を起こして『頭が痛くて』と伝えたんですよ。すると妻も、わざわざ自分を起こすほど頭が痛いっていうのは、尋常じゃないと思ったんでしょうね。『どうする、救急車呼ぶ?』って言うから『そうするわ』って言って、救急車を呼んだんですよ。」

救急車に自分で歩いて乗った田中さん。
病院に着いてCT検査を行うと“脳梗塞”を起こしていたことが判明しました。さらに、運ばれる前は動かすことができていた脚が動かなくなってしまいました。その後MRI検査をすると“くも膜下出血”も起こしていたことがわかりました。“くも膜下出血” と“脳梗塞”を同時に起こしていたのです。

田中さんの脳で何が起こっていたのでしょうか。
脳の前の方には「前大脳動脈」という太い血管があります。その血管の内側が裂けて血液が入り、一部で出血が起きました。“くも膜下出血”の状態です。さらにその血管の壁のかけらが別のところで詰まって“脳梗塞”を起こしてしまったのです。
“くも膜下出血” と“脳梗塞”という命にかかわることもある2つの病気を同時に発症した田中さんでしたが、運よく出血はすぐに止まり、詰まった血管にも血流が戻り、大事に至らずすみました。動かなかった脚も、元通り動くようになりました。
田中
「少したったら急に脚が動くようになって、先生たちが『動いた動いた。開通した開通した』と言っていました。さっきまで全く動かせなかった脚が、今はちゃんと動くっていうことがわかる。不思議な感覚でした。そのまま死んでしまってもおかしくない状況だったので、本当にツイていたな、と思います。」
夫を介護する覚悟をした妻・山口もえさんと子どもたちの存在
田中さんは2015年にタレントの山口もえさんと結婚。3人の子どもとともに家族5人で暮らしています。病気を機に田中さんは、改めて家族の大切さに気づいたと言います。
田中
「一人で暮らしていたら救急車を呼んでいたかどうかもわからないですね。そのまま寝ていれば治るかな、などと思ってそのままにしていたら、もっと重大なことになっていたかも知れません。病院に行ったとき、脳梗塞と聞いて、妻は『私はきっと、一生この人の介護をすることになるんだろうな』という覚悟までしていたそうです。後から聞いた話ですが。だから、すごく心配をかけちゃったなという思いはありますね。そこまで思っていてくれたんだなと。」
救急車で病院に向かったとき、家には子どもたち3人だけが残っていました。検査が終わって、これなら大丈夫だろうとわかったときには既に朝になっていました。
子どもたちが不安に思っているのではないかと心配しながら山口もえさんが自宅に帰ってみると、はたして子どもたちは、もう目を覚ましていました。
しかし、両親がいないことを不安に思うのではなく、「これは、ドッキリなんじゃないか?」と言って、家の中でカメラはどこだと探したというのです。
これには田中さんもびっくり。「頼もしい!」と感心しました。
しかしそんな子どもたちもまだ小さく、一番下の子は5歳。
自分が死んでしまったらヤバい。まだまだ死ねないと強く思うようになったと言います。

結成35年 爆笑問題の絆
1965年、東京都中野区に生まれた田中裕二さん。
日本大学芸術学部の入学試験のとき、試験官にヤジを飛ばす不思議な受験生がいました。それが太田光さんでした。その後、二人は意気投合して、漫才コンビ・爆笑問題を結成しました。今年で結成35年になる爆笑問題。
太田さんの存在について田中さんに聞いてみると…。
田中
「漫才コンビっていうのは、ただの友達ではないですし仕事上のパートナーというほどでもなくて、兄弟でもないし、恋人でもないし、夫婦でもないんだけど、全部の要素が入っている感じ。肉親ではないけれども、それに近い存在。」
太田さんは田中さんの病気のことも容赦なくネタにしてしまいます。
それについては、「この仕事をやっていたら、病気のことはネタにしないと。」
深刻なことも笑いに変えてくれることを感謝していると言います。
そんな太田さんとの関係を一言で表してもらうと、「一球入魂」という言葉が。
田中さんは、20年ほど前に腫瘍のために睾丸を一つ摘出しましたが、それ以来、太田さんは、そのことをずっとネタにしてイジり続けてきました。
一つの球のことを魂をこめてネタにしてきたのが、二人の関係なんだとか。

普通に生活をすることが予防!
血圧が高いわけでもなく、健康診断の数値も正常だという田中さん。
再発防止のためにするべきことは「体力をつける、栄養のバランスに気をつけることくらいしかない。普通の生活をすること」と医師から言われたそうです。
大きな病気を乗り越えた田中さんに、これからしたいことを尋ねると
田中
「子どもたちと妻、家族みんなで過ごす時間を、もっと持てたらいいですね。そのためには健康でいなくてはならない。普通の生活をして、健康を保って、家族の時間を大切にしていきたいです。」