スマートフォン依存に注意!解決のポイントは?

更新日

セルフケア・対処依存症こころ脳・神経

スマートフォンの使いすぎで日常生活に支障が!?

厚生労働省の推計では成人のおよそ421万人にスマートフォンやパソコンに没頭する「ネット依存」の傾向があるとしています。「アルコール依存」や「薬物依存」のように「スマホ依存」という医学的な言葉があるわけでありませんが、ゲームやSNSに熱中しすぎるあまり日常に生活に支障がでているケースが増えてきています。

スマートフォンで仕事などを行う人もいるため、単純に使用時間ではなく仕事や学校など「日常生活に支障が出るか」という視点で考えることが大切です。

抜けられなくなるのは主に「ゲーム」と「SNS」

スマートフォン依存で相談にくるおよそ9割が男性でゲームに熱中していることが多く、1割が女性で、その対象は主にSNSとなります。ゲームへの依存は「ゲーム障害」という名前で2019年にWHOでも病気として認定されています。
単純にゲームを好きだということではなく、脳の中で理性をつかさどる前頭前野の働きが低下している状態と考えられています。アルコール依存やギャンブル障害でも同様のことが起きているとされており、重くなると、本人の意思だけで抜けるのは難しくなります。
スマートフォンの特徴として「いつでも」「気軽に」でき、ログインをするとゲームの中で使えるポイントをもらえたりなど、アクセスを促す仕掛けがいろいろとあることも熱中してしまう理由の1つです。

女性の場合はコミュニティからの疎外感に敏感な人が多く、学校での人間関係がうまくいかないときなどに自分が応援しているアイドルについてなどのコミュニティを見つけると、「自分を分かってもらえる」「自分の居場所はここだ」などとはまってしまうケースが多くあります。

就寝前の遅い時間でのスマホ使用
スマホを見ながらの食事

家族の関係にも原因が!?

スマートフォンに依存してしまう人の傾向として、教育熱心な家庭が多いことがあげられます。
それまで楽しいことを我慢して勉強し、受験合格を機にスマートフォンを買ってもらいゲームやSNSなど魅力的なコンテンツに触れることでのめり込んでしまう傾向があります。
さらに進学校でのハードルや親からの期待など、いろいろなプレッシャーからの逃避としてゲームやSNSにはまり込むこともよくあります。

スマートフォンを取り上げるのは逆効果

解決方法として無理やりスマホを取り上げることはお勧めできません。
男性だと暴力に訴えたりすることがあり、女性だと新たにスマホを手に入れようとしてお金が必要になり、夜の世界に足を踏み入れてしまうこともあります。何より、相手の合意なくスマートフォンを取り上げるという行為は家族であっても信頼関係を失う原因になってしまいます。

ポイントは
「本人の思いに寄り添い、頭ごなしに否定しない」「スモールステップを心がける」

「本人の思いに寄り添い頭ごなしに否定しない」

スマートフォンに依存する人は、人と話したり、説明したりすることが苦手な傾向があります。
他人に思いを話して問題を解決したという経験が少なく、むしろ、否定されてきたという経験を重ねていることが多いのです。あいまいな質問をすることで、本人がうまく答えられず、かえって自信を失ってしまうことがあります。
そのため「スマホを何に使っているの?」ではなく「スマホでゲームをしているの?1日何時間くらいしているの?」といったように会話の内容を整理しながら本人の思いを引き出すように会話を進めたほうが本人も答えやすく信頼関係もできていきます。

「スモールステップを心がける」

小さな目標を設定して、その達成を積み重ねていくことが大切です。
いきなりスマホを全く触らない、ゲームを完全にやめるというのは無理が生じます。そのため使用時間を少しずつ減らしていくことを目標とします。今、使用している時間の1割減から始め、それができたらさらに減らすというように超えられそうな目標を設定して、積み重ねていくのがいいでしょう。
そして達成できたら時々さりげなく褒めるようにすることも大切です。

また家庭内のルールを決めることもお勧めします。例えば「リビングで充電をする」と使用時間をコントロールしやすくなるだけでなく、子供がリビングに出てくるタイミングが増えるので、コミュニケーションをとりやすくなるというメリットもあります。

スマートフォン以外の楽しさを見つけさせる!

スマートフォン以外に「キャンプ」や「旅行」「一緒に料理を作る」など、楽しい活動を知る機会を積極的に設けることは重要です。家族との関わりが少ない、悩みに気づいてもらえないなど現実世界での居場所を失った結果、インターネットやゲームの世界へ依存していることが多くあるため、家庭が本人にとって居心地の良い場所として機能するよう心がけましょう。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    ニュース スマートフォン依存に注意!