介護に悩みを持つ人が増加!
高齢化や核家族化が進む中、介護に悩みをもつ人が増えています。メンタルの調子を崩し、いわゆる「介護うつ」という言葉も生まれています。
実際に介護を行っている人はどんな悩みを抱えているのでしょうか?
80代の母親を介護している50代の(仮名)ナオコさんの場合

ナオコさんの母親は5年前にアルツハイマー病と診断され、現在は要介護4。
食事からトイレまですべてナオコさんがサポートしています。睡眠時間の確保が難しく、心身ともに不調を抱えたまま介護をする日々が続いています。

また離れて暮らす妹に協力してもらえないのも悩みの一つです。
離れて暮らす母親を介護している60代の(仮名)サナエさんの場合

母親の認知症は軽度のため、普段は問題なくコミュニケーションを行えているのですが…

突然、人を強く罵倒したり夜中に下着姿で外に出ようとしたりすることがあります。
優しく穏やかだった母親が変わっていく姿にショックを受け、精神的につらいと言います。
- サポートで寝られない
介護する人は自分の時間を削って、身の回りのことを行っています。
たとえ介護度が低くても、常に気を張っていることで夜も眠れなくなります。睡眠がとれないと体の負担が大きくなるだけでなく精神的にも悪影響を与え、怒りやすくなったり集中力も低下します。 - 家族に協力してもらえない
昔はきょうだいが多く、親の介護も手分けできましたが、今は1人への負担が重くなっています。そんな中、協力が得られないとなると「なんで私ばかり」と不満がたまったり、「自分がなんとかしなければ」という責任感に追い詰められるようになります。 - 変わっていく親の姿がつらい
変わっていく親の姿を受け入れられないという人が多くいます。
それまでできていたことが急にできなくなったり、人格がすっかり変わったように感じたりします。そんな状況にいらだち、強く当たってしまったりしてしまうということもあります。
介護で“うつ病”を発症
介護をしている人で、精神的・肉体的なストレスが重なり睡眠が十分にとれない状況が続き、さらに「自分がなんとかしなければ」と責任感が強い人は、「うつ病」に注意が必要です。
うつ病には気分が憂うつ、興味関心が薄れるという症状が有名ですが、それ以外に3つのチェック項目があります。

- 眠れているか?
介護では、夜間にもトイレの手伝いなど頻繁に対応しなければならず、眠れない状態が続くことが多くなります。時間あるときにぐっすり眠れていれば、まだ問題はありませんが、寝ようとしても寝られない状態が続くとうつ病の可能性は高くなります。 - 食べられているか?
相手を優先し自分の食事は後回しになりがちです。一段落してしっかり食べられている時は大丈夫ですが、食が細まったり、逆に過食になったりしてきたら注意が必要です。 - 死にたいと思うか?
認知症の介護は責任を感じることが多く、うまくいかないことが重なると自分を責めてしまいがちになります。さらに、あまり関わりを持たない人から「親なんだから大事にしてあげて」「なるべく家で過ごさせてあげて」などと言われると逃げ場がなく、追い詰められます。「いつまで続くのか」、場合によっては「死んだほうがましだ」と 思うことはありますが、「死ぬしかない」「自分が死んだほうがうまくいく」と
深刻に考え始めたら、それは“うつ病”が進行しているサインかもしれません。
介護の心構え 4つの鉄則

- 睡眠時間の確保
短期入所のショートステイの利用し、睡眠時間を確保することが重要です。
経済的な負担もあると思いますが、夜の眠りの確保が難しい介護者には積極的に利用すべき方法だといえます。施設入所に抵抗のある本人や家族もショートステイだと受け入れやすい面もあります。
時間が確保できてもなかなか寝付けないという人には睡眠薬を使うのもひとつの方法ですが、それ以外におすすめなのが“水枕”です。
人は睡眠の際、およそ1度の深部体温低下が必要となります。身体が興奮してなかなか眠りにつけない場合に効果があります。また入浴は就寝の2時間以上前に済ませるようにすることもおすすめです。 - “推し”でストレス解消
好きなものを食べる、好きな音楽を聴くなどその人が好きなものならなんでもOKです。短い時間でも好きなことに夢中になることで、つらい気持ちが和らぎます。
介護中に楽しむのは気が引ける人もいると思いますが、我慢するほうが精神的な負担になってよくありません。ショートステイなどを活用して、思いっきりストレスを発散させたほうが結果としてよい介護につながります。 - 親スイッチを切り替える
親や配偶者など強くて頼れる存在だった人の能力が落ちていき、人柄も変わっていくのを見るのはつらいもの。そこで第三者として接するように心がけるようにします。
自分はプロの「介護者」なのだと位置付け、接することで心が軽くなる場合が多くなります。 - 抱え込まない
「自分がやらなければ」と抱え込まず介護サービスを使うことが大切です。
介護士などとのつながりもでき、新たな介護の方法も見えてくる場合があります。また地域の高齢者相談センターなどの窓口に相談するのも一つの方法です。